バンクマン-フリード氏は、若くしての経済的な成功と、エキセントリックな性格(例えば、オフィスのビーンバッグチェアで寝ることが好きとされる)から、暗号資産業界の寵児となっていた──今週のニュースをダイジェストで振り返ります。
USDコインは長期的に「エキサイティング」、事実上のCBDCになる:米投資銀行アナリスト
米暗号資産(仮想通貨)取引大手Coinbase(コインベース)のブライアン・アームストロングCEOは11月3日の同社第3四半期決算報告で、米ドル連動型ステーブルコインのUSDコイン(USDC)はアメリカにとって、事実上の中央銀行デジタル通貨(CBDC)になると述べた。
アームストロングCEOの予測は正しいだろうか?
たぶん、と米投資銀行Needhamのアナリスト、ジョン・トダロ(John Todaro)氏は11月4日、CoinDesk TVで語った。
ポリゴンはWeb3移行の入口:レポート
ポリゴン(Polygon)ブロックチェーンは、Web2ユーザーをWeb3に移行させるための有力な入口となっていると米投資会社バーンスタイン(Bernstein)は11月4日にリサーチレポートで述べた。ポリゴンは、スターバックス(Starbucks)、NuBank、レディット(Reddit)、ロビンフッド(Robinhood)、メタ(Meta)などが採用している。
FTXのサム・バンクマン-フリードCEO、支払い能力に関する憶測を否定
週末、サム・バンクマン-フリード氏が率いる暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの支払い能力について憶測が広がるなか、同氏は11月7日朝に「FTXは大丈夫。資産も問題ない」とツイートした。
「FTXは全クライアントの保有資産を十分にカバーできる」「我々は顧客資産を(国債にさえ)投資していない。すべての出金を処理しており、今後も続ける」
CoinDeskは先週、FTXの姉妹会社アラメダ・リサーチ(Alameda Research)がFTXの取引所トークン、FTXトークン(FTT)を大量に保有していることを伝えた。
シンガポールで130人超の採用を計画、ステーブルコイン発行のパクソス:報道
ステーブルコインのパックスドル(USDP)を発行する米パクソス(Paxos)は、シンガポールで暗号資産プロダクトとサービスを提供するためのライセンスをシンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore:MAS)から取得した後、少なくとも130人を雇用する予定と、ブルームバーグが11月7日に報じた。
韓国銀行、CBDCでのクロスボーダー決済とNFT取引をテスト:報道
韓国銀行(中央銀行)は、他国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)と連携させることで、クロスボーダー送金を円滑に進めるプログラムを開発・テストしたと聯合ニュースが11月7日に報じた。
同行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は9月、韓国ウォンのデジタル化に関する10カ月の実験を終えたと発表。実験中には、CBDCを使ってNFTを購入するテストも行ったという。
ビットコインとイーサリアムが下落──FTXトークンの下落で不安広がる
暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのネイティブトークンであるFTXトークン(FTT)が姉妹企業のアラメダ・リサーチ(Alameda Reaserch)のバランスシートに関する懸念から21カ月ぶりの安値に急落するなか、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)も11月8日未明(米東部時間)に売り圧力に直面した。
CoinDeskのデータによると、協定世界時(UTC)4時30分(日本時間8日17時30分)時点、ビットコインは4.3%下落して1万9700ドル、イーサリアムは5.5%下落して1480ドルとなっている。一方、FTXトークンは20%下落して17ドルとなり、2021年2月以来の安値となった。
バイナンス、FTX買収に合意
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)はライバル取引所のFTXの買収に合意した。FTXとその姉妹企業アラメダ・リサーチ(Alameda Research)の流動性に対する懸念に関するこの数日の憶測は驚くべき結果となった。
買収は11月8日、ツイートによって明らかになった。今年始め、FTXの評価額は320億ドルに達していた。一方、バイナンスは取引高で世界最大級の取引所。買収条件は明らかになっていないが、FTXのアメリカ法人であるFTX.USは含まれていない。
バイナンスCEOのチャンポン・ジャオ氏もツイートで買収を認め、拘束力のない基本合意書を締結したと述べた。数日中にデューデリジェンスが行われるという。
破綻懸念が広がるなか、暗号資産取引所は「プルーフ・オブ・リザーブ(第三者による残高確認)」を急ぐ
暗号資産(仮想通貨)取引所は今、準備金の検証と公表に向けて奔走している。FTXの流動性問題の影響を受けて、投資家の間に取引所の破綻懸念が広がっているためだ。
過去24時間で7つの暗号資産取引所──バイナンス(Binance)、ゲートアイオー(Gate.io)、クーコイン(KuCoin)、ポロニエックス(Poloniex)、ビットゲット(Bitget)、フォビ(Huobi)、オーケーエックス(OKX)がそれぞれ、透明性を高めるために「マークルツリー・リザーブ・サーティフィケート(Merkle tree reserve certificates)」を公開するという声明を発表した。
FTX、引き出しを停止
FTXは、法定通貨以外の引き出しをすべて停止している。FTXのサポート担当が米東部時間8日午後、同社の公式テレグラムグループで認めた。
「法定通貨以外の引き出しはすべて停止されている」とFTXのサポート担当は記した。停止は、以前は遅いペースだったがまだ引き出しが処理されていたFTXの状態が悪化していることを浮き彫りにしている。
米アーク、FTX危機の中でコインベース株を買い増し
アーク・イベストメント・マネジメント(Ark Investment Management)は3つのファンド、「ARK Innovation」「ARK Next Generation Internet」「ARK Fintech Innovation」でコインベースへの出資を増やしていると述べた。現在保有している770万株に、42万949株を追加するという。
コインベース株は2022年、前年から約80%下落と、約60%下落のビットコインをさらに下回る厳しい状況にある。アークは、7月には140万株以上のコインベース株を売却しているが、ウッド氏はコインベースと暗号資産に対する強気姿勢を崩していない。
FTX買収は「我々の勝利」ではない:バイナンスCEO
暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)のチャンポン・ジャオCEOは11月9日、FTX買収に合意したことは「我々の勝利ではない」とスタッフに宛てた文書に記した。フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が文書について報じた後、ジャオ氏はツイッターで公開した。
FTXのウェブサイトが一時ダウン──出金停止と入金について警告
資金繰りに苦しむ暗号資産取引所FTXは11月9日、ウェブサイトのFTX.comに真っ赤なバナーを掲載し、出金を停止していることを顧客に警告した。
「FTXは現在、引き出しを処理できません。入金を控えるよう強くお勧めします」とバナーには書かれている。
メッセージは9日午後、ウェブサイトが一時的に閉鎖された後に表示された。ウェブサイトは数分で再開したが、当記事執筆時点には再びダウンしている。
FTXのCEO、投資家に破綻を警告:ブルームバーグ
FTXの投資家は、同取引所が現金支援を受けられない場合、破綻保護を申請せざるを得ない可能性があると警告されている。ブルームバーグが11月9日に報じた。
FTXの買収方針を表明していた同業のバイナンス(Binance)は、デューデリジェンスの結果、買収方針を撤回した。ブルームバーグによると、FTXは80億ドルの資金不足に直面しているという。
一晩で2兆円以上を失う──FTXのCEO、ビリオネアランキングから外れる
FTXのCEO、サム・バンクマン-フリード氏はブルームバーグのビリオネアランキング「Bloomberg Billionaires Index」から姿を消した。同氏の推定個人資産は1日で約94%も減少し、9億9150万ドル(約1440億円)となった(ビリオネア:10億ドルの資産を持つ人)。
同氏の資産は、所有する会社の資金繰りが悪化する前には約152億ドル(約2兆2100億円)と推定されていたが、一晩で140億ドル(約2兆円)以上が吹き飛んだ。
バイナンス、FTX買収を撤回──問題は我々のコントロールや能力を超えている
バイナンス(Binance)は9日、FTX買収に向けた基本合意書を破棄した。
「デューデリジェンスの結果、また、顧客資金の誤った取り扱いと米当局による調査の可能性に関する最新の報道を受けて、我々はFTX.comの買収の可能性を追求しないことを決定した」と広報担当者はCoinDeskに語った。
「当初、我々は流動性を提供し、FTXの顧客をサポートできると考えていた。だが問題は我々のコントロールや能力を超えている。業界の大手プレーヤーが破綻するたびに、個人投資家は被害を受ける。ここ数年、暗号資産エコシステムは回復力を増している。ユーザー資金を悪用する異常な事例はフリーマーケットによって淘汰されると信じている」
JPモルガン、破綻の連鎖を懸念──影響はテラ崩壊後より小さい可能性
FTXとその姉妹企業アラメダ・リサーチがほぼ破綻状態に陥ったことが引き起こした暗号資産のデレバレッジは、以前よりも「解決が難しい」とJPモルガンは9日、クライアント宛て文書で述べた。救済の手を差し伸べることができる強力な企業や資金が不足しているためだ。
「FTXおよびアラメダ・リサーチと、DeFiプラットフォームを含む暗号資産エコシステムの他の企業の規模や相互関係を考えると、テラ(Terra)崩壊後に5月から6月にかけて見られたようなマージンコール、デレバレッジ、暗号資産企業/プラットフォームの破綻の連鎖が再び始まっているようだ」と同行は述べた。
FTX Japanに行政処分、業務停止と資産の国内保有
関東財務局は11月10日、FTX Japanに対して行政処分を行い、暗号資産交換業の1カ月の業務停止などを命じた。
関東財務局の発表によると、FTX Japanは11月10日から12月9日までの間、暗号資産交換業の業務(預かり資産の管理と利用の決済取引など、当局が個別に認めたものを除く)と、新たに利用者から財産を受け入れる業務を停止する。
バハマ規制当局、FTXの資産凍結
バハマの規制当局は、FTX Digital Marketsとその関連資産を凍結した。11月10日に発表されたプレスリリースによると「資産を保全し、会社を安定させる」ための行動という。
バハマ証券委員会もFTXの認可を停止し、暫定的な清算人を任命した。FTXはバハマに本社を置いている。FTX USは別法人。
ソラナ、記録的なボラティリティと強い下落圧力
デジタル資産データプロバイダーのアンバーデータ(Amberdata)によると、ソラナの7日インプライド・ボラティリティ(短期的な価格変動の指標)は年率270%に急上昇、ビットコイン(BTC)の135%の2倍になっている。30日インプライド・ボラティリティもビットコインの95%に対して190%。
一方、ソラナの7日コール・プット・スキューは、史上最低のマイナス99%まで低下し、コール(強気の投資)に対してプット(弱気の投資)の需要が記録的なものになっていることを示している。投資家は通常、価格下落を予想してプットを購入する。
「ソラナ市場はパニック」とアンバーデータのデリバティブ担当ディレクター、グレゴアール・マガディーニ氏は述べた。
FTX Japan:預かり資産は全額保全と国内ユーザーに通知
世界最大規模の暗号資産(仮想通貨)取引所、FTXを巡る危機が続くなか、同社の日本法人で暗号資産交換業を営むFTX Japanは11月11日、「行政処分に関するお詫びとお知らせ」と題した通知文を日本国内で同社サービスを受けるユーザーに送った。
また、FTX Japanは、客からの預かり資産については全額保全されていると述べ、金銭は、資金決済法と金融商品取引法に基づいて信託口座に預託口座に預託し、暗号資産は同社が管理するコールドウォレットで管理していると説明した。
|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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