FTXの破綻によって「暗号資産の冬」は長引くだろうとの懸念が広がり、ビットコイン(BTC)長期保有者の決意が揺らいでいる。
この変化は要注目だ。なぜなら、マクロ経済環境が悪化した第3四半期(7−9月期)にも長期保有者は動じず、ビットコインは回復力を維持していた。長期保有者の行動が買い集めから売却にシフトしていることは、FTXの破綻を受けて、市場の強さに懸念を抱いていることを表しているだろう。
「ホドラー(HODLer:長期保有者を表す俗称)の間には、ある程度の差し迫ったパニックが確かに起きている」とブロックチェーン分析企業グラスノード(Glassnode)は14日に発表したウィークリーレポートで述べた。
グラスノードのデータによると、長期保有者のビットコイン保有残高は11月6日以降、6万1500ビットコイン(約10億3000万ドル、約1440億円)減少し、6月末から11月初旬にかけて見られた買い集め傾向からシフトしている。
さらに長期保有者のネットポジション変化を見ると、11月13日までの1週間に4万8000ビットコイン以上が売却された。また1年以上動いていなかった9万7000以上のビットコインが先週取引され、市場に出回った可能性がある。
暗号資産データ企業アンバーデータ(Amberdata)は、FTXの崩壊は「暗号資産を政治的に厳しい立場に追い込み、さまざまな金融機関を連鎖的な資本不足に陥らせるなど、多くの結果をもたらすだろう」と述べている。一部のテクニカルアナリストは、ビットコインは短期的に1万3000ドルまで下落すると予想している。
センチメントが長期的な弱気にシフトしたと呼ぶにはまだ早すぎるとしながらも、グラスノードは「古い(=長期間動いていなかった)ビットコインの売却が続き、長期保有者の保有高が減少することは、自信が広く失われていることと懸念が生まれていることの明確な警告サインだろう」と指摘した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Glassnode
|原文:Collapse of Crypto Exchange FTX Sees Long-Term Bitcoin Holders Shift to Distribution