DeFi(分散型金融)プロトコルの人気が急上昇している。
ブロックチェーン分析企業のナンセン(Nansen)によると、ほとんどのDeFiプロトコルは過去7日間にユーザーとトランザクションが10%以上増加し、FTX崩壊後に活況を呈している。
例えば、コスモス(Cosmos)ブロックチェーン上のDEX(分散型取引所)、dYdXはユーザーが99%、トランザクションが136%増加した。
この状況は、暗号資産にも反映されている。FTX破綻の影響を受けて15日までの1週間、DeFiセクターの暗号資産のほとんど(88%)が下落したにもかかわらず、暗号資産dYdX(DYDX)の価格は77%上昇した。
CoinDesk Digital Asset Classification Standard(DACS)の中で、DYDXはCLOB(central order limit book:中央指値注文板)に分類されており、CoinDesk Indicesによると、CLOBは36分類の中で唯一、前週比リターンがプラスになっている。
また、分散型レンディングのアーベ(Aave)はユーザーが70%、トランザクションが99%増加した。
「FTX破綻の影響が広がるなか、ユーザーはDeFiプロトコルが提供するセルフカストディと透明性の重要性を認識している。そのため、DeFiプロトコルの利用指標は急上昇している」とファンドストラット・グローバル・アドバイザーズ(Fundstrat Global Advisors)のウォルター・テン(Walter Teng)氏はCoinDeskに語った。
ユニスワップ(Uniswap)
FTX崩壊後、中央集権型取引所に対する信頼は劇的に低下したが、最大規模のDEX(分散型取引所)であるユニスワップ(Uniswap)はナンセンのデータによると過去30日間でユーザーが19%、トランザクションが21%増加した。
またCoinGeckoによると、ユニスワップの過去24時間のイーサリアム(ETH)取引高は当記事執筆時点、9000億ドル(約126兆円)に達している。これはコインベース(Coinbase)、オーケーエックス(OKX)、ゲートアイオー(Gate.io)の合計を上回っている。
さらに、ユニスワップのWebアプリの1日あたりの新規取引ウォレット数は5万5550にのぼり、2022年の最高値を記録した。
「セルフカストディと透明性が求められており、ユーザーは自分たちが知っていて、信頼できるものに集まっている」とユニスワップ・ラボ(Uniswap Labs)はツイートした。
中央集権型取引所は純流出
一方、中央集権型取引所は大幅な純流出となっている。
例えば、バイナンス(Binance)は過去7日間で、約14億4000万ドル(約2011億円)という最も多くの純流出となった(ただし、ナンセンのデータは、イーサリアムとイーサリアム規格に準拠したERC-20トークンのみを対象としている)。
次いで、オーケーエックスが12億4000万ドル、FTXが9億ドル、Kraken(クラーケン)が5億8600万ドルの純流出となった。
ナンセンによると過去7日間で、バイナンス、オーケーエックス、FTX、クラーケン、クーコイン(Kucoin)、コインベース(Coinbase)、フォビ(Huobi)、ゲートアイオー、ジェミニ(Gemini)、パクソス(Paxos)、FTX US、Crypto.comは1億ドル以上の流出を記録、合計で63億3000万ドルの純流出となった。
大規模な流出は、中央集権的取引所で暗号資産を保有することに対するユーザーの信頼と信用の欠如を浮き彫りにしているといえるだろう。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk Indices
|原文:DeFi Protocols Are Winning Users as Centralized Crypto Exchanges Suffer Ether Outflows