オーストラリア証券取引所(ASX)は、大幅に遅延していた決済機関電子登録システム(CHESS)のブロックチェーンシステムへのリプレースをキャンセルした。
ASXは、決定は「ソリューションの不確実性を考慮」して行われ、損失は2億5000万オーストラリアドル(約1億6800万ドル、約235億円)にのぼると15日、声明で述べた。
大手コンサルタントのアクセンチュアが調査を行い、ブロックチェーンシステムのデザインに関する「重大な問題」を特定した。具体的には、ASXが求める要件と、アプリケーションや基盤となるブロックチェーンの機能との整合性についての問題などだ。
「現行のCHESSは安全で安定しており、順調に稼働している。ASXは、その能力と弾力性に投資を続ける」(ASX)
ASXは2017年12月にCHESSをブロックチェーンシステムにリプレースすると発表、当初は2020年第1四半期までに運用を開始する予定だった。
だが運用開始は2021年8月に延期され、さらに2022年まで延期された。ASXは遅延の原因として、新型コロナウイルス感染拡大による混乱をあげている。
遅延はオーストラリアの中央銀行と金融規制当局から批判を招いたが、ブロックチェーンベースのシステムがピーク時のキャパシティに対応できることを確認するために遅延は不可避だったとASXは主張している。
ASXはオーストラリアを代表する証券取引所、今年9月時点の時価総額は約1兆5500億ドル(約216兆円)にのぼる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Australian Securities Exchange Cancels Blockchain-Based Clearing System at $168M Cost