デジタル証券フォーラム2022 資産のセキュリティトークン化

デジタル有価証券「セキュリティトークン」が投資の世界に何をもたらすのか。海外で、そして日本においてこれからどういった展望が見えてくるのか。不動産投資のデジタル証券化にいち早く取り組んできたハッシュダッシュCEOの林和人氏に、セキュリティトークンのこれからについて聞いた。

ハッシュダッシュ 
代表取締役社長CEO
林 和人氏

2016年に日本初のスマホ証券(現Paypay証券)事業開始、超小口投資を日本に導入。2019年、ブロックチェーンプラットフォームを提供するHash DasH Holdings、証券子会社Hash DasHを設立。

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ブロックチェーンがもたらす地殻変動

2019年にハッシュダッシュを設立したのは、ブロックチェーン技術が持つ大きな可能性に注目したからです。2020年5月には金融商品取引法が改正となり、ブロックチェーンに財産的価値をひもづけることで、有価証券としての取り扱いが可能になりました。理論的には、現在証券化できるものはすべてセキュリティトークン(以下STと略)として取引が可能になります。マーケットポテンシャルの大きさは計り知れません。

現在のメイン業務は、不動産ST(合同会社・匿名会社を使った小口化)の取り扱いです。市場規模約2600兆円という有望市場ですが、それに限らず今後様々な領域にSTを広げていきたいと考えています。

これまで、証券会社の顧客対応・管理はデジタル化(Fintech)が進展していました。今後ブロックチェーンによって、フロントとバックが一体となった効率的な処理が可能になれば、決済システムそのものの変革が起こります。金融の世界が大きく変わる、地殻変動が起こるといっても過言ではないと思っています。

あらゆるものがST化していく未来へ

ST化できそうな肖像権、知財、動産・不動産、絵画美術品などの可能性を検討しましたが、一部の愛好家向けの投機商品にならないように、社会全体の利益に資するべき、という考えに至りました。

データを改ざんしにくいというSTの特性を生かせば、食品のトレーサビリティーも向上します。例えば日本のブランド牛の飼育から解体、セリから卸しまでの過程をトータルに有価証券化できるのです。ポイントはリアルとデジタルをいかに融合できるか。金融機関の役割も、デジタルを通じてリアルな取引を厳正にチェックし、コントロールするという側面が大事になると思います。

現在公証役場に行かなくても、不動産の移転登記に必要な公証人による認証がデジタル処理できるかを検証中です(経済産業省のサンドボックス制度)。日本も着実にデジタル証券化の流れに乗り、その歩みを進めています。ありとあらゆるものがデジタルでつながり、価値を生み出す未来に向けて、様々な取り組みを進めていきます。

|2022年11月28日付け日本経済新聞朝刊「デジタル証券フォーラム2022広告特集」より転載
|画像:coindesk JAPAN