トップニュース
ヘッジファンドのFir Treeが、暗号資産(仮想通貨)投資会社のグレイスケール(Grayscale)を訴えるとブルームバーグは伝えた。グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の詳細を入手し、マネジメントの失敗の可能性と利益相反を調査することが目的という。
Fir Treeはまた、グレイスケールが払い戻しを再開し、資産107億ドルの世界最大の暗号資産ファンドが手数料を削減することを望んでいる。
GBTCは、ビットコイン(BTC)価格に対して43%近い記録的なディスカウント価格で取引されており、ビットコインの急落やFTXをはじめ複数の大手暗号資産企業の崩壊を受けて、年初から約75%下落している。
ブルームバーグが報じた関係者によると、Fir Treeは入手した情報を利用して、グレイスケールに圧力をかけたいと考えている。Fir Treeは今年初め、ステーブルコインのテザー(USDT)に対して大規模なショートベットを行ったことで知られている。
グレイスケールの広報担当者はCoinDeskに対し、同社の「ミッションは、投資家が身近で安全かつ透明性の高い投資手段を通じて、進化し続ける暗号資産エコシステムにアクセスできるようにすること。我々はステークホルダーの意見を尊重し、プロダクト構造と運営モデルの詳細についてステークホルダーと直接関わることに感謝している」と述べた。
市場動向
ビットコインは、1万7000ドル付近、24時間でほぼ横ばい。FTX崩壊などの影響が業界に広がり、投資家が神経質になっているにもかかわらず、ビットコインのドミナンス(市場占有率)は、これまでストレスの多い時期に急上昇した歴史に反して、約40%で安定的に推移している。市場関係者は、これは市場からの投資家の流出を反映しているだろうと述べた。
チェーンリンク(LINK)は、安全性を強化するためにステーキングを導入。共同創設者セルゲイ・ナザロフ(Sergey Nazarov)氏によると、ステーキングは成長に必要なインセンティブを提供するという。同氏はチェーンリンクの取引高は今年、6兆6000億ドル以上にのぼっていると述べた。当記事執筆時点の価格は7ドル付近、24時間で1.7%下落した。
エイプコイン(APE)は、ステーキングがスタートしてから1日で、3000万ドル以上が預け入れられた。価格は約4.1ドル、24時間で5.4%上昇した。
最新価格
●CoinDesk Market Index(CMI):862.49、-0.1%
●ビットコイン:16,984ドル、+0.2%
●イーサリアム:1,255ドル、-0.3%
●S&P500:3,941.26、-1.4%
●ゴールド:1,783ドル、+0.9%
●米国10年債利回り:3.51%、+0.1
市場分析
テクニカル分析でよく使われる指標と、オンチェーン分析に特化した新しい指標が現在、対立している。それぞれ、投資家がどれくらいの期間で利益を得ようとするかに関連する。
新しい指標であるビットコインのMVRV(market-value-to-realized-value)レシオは、ビットコインの時価総額と実現時価総額の比率を割り出し、今後の値動きを探る。MVRVが3.7を超えると割高、1を下回ると割安と判断される。
現在、MVRVは0.85。2019年に見られたレベルまで低下しており、現状は長期投資家にとって魅力的なチャンスであることを示している。
他のニュース
●暗号資産に注力しているシルバーゲート銀行の株価は、FTX破綻後、約50%下落したが、6日にはさらに6.15%下落し、午前中の取引で過去1年間の最安値となった。複数の米上院議員が5日、同行にFTXとその姉妹会社アラメダ・リサーチとの関係についての回答を求めている。
●株式市場も下落した。ナスダックは2%、S&P500は1.44%、ダウ平均は1.03%下落。投資家は、FRBが次回12月14日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の利上げを行うと見て、慎重になっている。
●エネルギー価格の指標となる、WTI原油先物は3.3%下落の1バレル74ドル。「エネルギートレーダーは自信を持ってディップ(下落局面)を買っていないが、バイデン政権が(戦略石油備蓄を)補充するかもしれないレベル(70ドル台)に価格が近づけば買いに動くだろう」とオアンダのシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CryptoQuant
|原文:Crypto Markets Today: Fir Tree Suit Against Grayscale Adds to Industry’s Growing Woes