FTXのサム・バンクマン-フリード前CEOは12月13日、バハマの裁判官に対して、アメリカへの身柄引き渡しに反対する権利を放棄するつもりはないと述べた。
前CEOは、オンラインでの詐欺、陰謀などの罪状でのアメリカへの引き渡し命令に対応するために13日朝、バハマの裁判所に出廷した。
青いスーツを着て、米東部時間10時30分頃に裁判所に到着した前CEOは、手錠はかけられておらず、裁判所の最前列に1人で、12日に逮捕状に署名した裁判官と正対するように座っていた。
抗うつ剤をめぐるやりとり
審理が始まる前に、バンクマン-フリード前CEOの弁護士は裁判官に、依頼人が処方薬を服用する許可を求めた。前CEOは、逮捕された時には薬を持っていたが、今は手にすることができないと述べた。
警察官が薬の入った前CEOのジップロックバッグを法廷に持ち込むと、裁判官は薬を飲むために水が必要かと尋ねた。
「水はいらないが、シャツを脱がないと服用できない」と皮膚に貼るタイプの抗うつ剤を使用していることで知られる前CEOは答えた。
「確かに法廷でシャツを脱ぐことはできない」と裁判官は述べ、前CEOは薬を服用するために数分間法廷を出ることが許された。
薬を服用する前は落ち着かない様子を見せていた前CEOだったが、法廷に戻ったときは落ち着いていた。
前CEOの両親は、報道陣の後ろの3列目に座っていた。
2人は、ときに頭を抱え、ときに手を握り、落胆と反抗の間で揺れ動いているように見えた。母親は、息子が「逃亡者」と呼ばれたときに数回、声を出して笑い、父親はときおり、周囲の音をかき消すかのように耳に指を当てていた。
保釈は却下
前CEOの弁護士は、依頼人は逃亡の恐れはないと主張し、保釈を検討するよう裁判官に迫った。一方、検察側はアメリカとの引渡条約により、被告人の身柄を拘束する必要があると主張した。
裁判官は逮捕状に署名して以来、保釈を認めるかどうか「悩んでいる」と法廷で語った。「うまく行った日には、私はお酒を飲まない。皆が知っている。しかし、昨日は確かに飲むつもりだった」。
弁護士は「FTXの問題が公になった時点から」逃亡するチャンスはあったのに、そうしなかったと主張。さらに「電子監視システム」と多額の保釈金によって、逃亡リスクは軽減されると付け加えた。
しかし、最終的に裁判官は保釈を拒否、来年2月8日に身柄引き渡しの審問を行うと述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:逮捕後の罪状認否に出廷したバンクマン-フリード前CEO(Cheyenne Ligon/CoinDesk)
|原文:Inside Sam Bankman-Fried’s First Bahamas Court Hearing After His Arrest