暗号資産市場のレバレッジと建玉、歴史的低水準:シティ

暗号資産市場のこの1年は、テラ(Terra/LUNA)の破綻にはじまる一連のネガティブなのショックに特徴づけられるとシティグループは12月12日、今年を振り返るレポートで述べた。

ジョセフ・アユーブ(Joseph Ayoub)氏率いるアナリストらは「投資家が価格下落と戦っている間に、レバレッジ、ボラティリティ、そして関心が薄れていった。価格下落に伴い、個人投資家の関心は広く低下」し、これは「全般的なボラティリティの低下と一致する」と記した。

機関投資家の関心も低下。この「信頼の喪失」は、多くの中央集権的な事業体の破綻に続き、年間を通じてマイナスのまま推移しているETP(上場取引型金融商品)に反映されているという。

さらに、インフレ懸念、金利上昇、金融引き締めといったマクロ的な背景の中で、S&P500の18%下落に対し、暗号資産の時価総額は約61%減少したとレポートは付け加えた。

シティグループによると、暗号資産取引所のFTX、暗号資産レンディング大手のセルシアス・ネットワーク(Celsius Network)とブローカーのボイジャー・デジタル(Voyager Digital)の破綻は、分散型ではなく中央集権型事業体の失敗であり、「おそらくはDeFi(分散型金融)プロトコルのレジリエンスを示すもの」だという。DeFiはブロックチェーン上で実施されるさまざまな金融アプリケーションを表す。

またレポートは、ビットコインの建玉は大幅に減少したと指摘。年初には230億ドル以上だったが、90億ドル程度まで落ち込んだ。レバレッジも大きく減少した。建玉は投資家が保有するデリバティブ契約の残高の総数であり、アクティブなポジションを表す。

ステーブルコイン全体では、まだ1500億ドル以上の時価総額があるとレポートは記した。ステーブルコインの2022年の償還額はわずか5%。しかし、テザー(USDT)が100億ドルもの時価総額を失う一方で、USDコイン(USDC)がほぼ横ばい、バイナンスUSD(BUSD)が増加するといった相対的な差異は、それぞれのステーブルコインに対する投資家の行動や信頼度の違いを示している。

暗号資産の価格下落にもかかわらず、スポット(現物)取引高は底堅く推移しており、DEX(分散型取引所) での取引高はFTX破綻後、ここ数週間で増加している。FTXの終焉は「消費者保護をより重視し、暗号資産規制に対する政策立案者の要求をさらに強化した」とレポートは述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:GuerrillaBuzz Crypto PR/Unsplash
|原文:Citi Says Crypto Market Leverage, Open Interest Are Historically Low