東京電力PGなど3社、「分散型データセンター」を展開へ──マイニング用ASICも配備

東京電力パワーグリッド(東京電力PG)、その100%子会社のアジャイルエナジーX、半導体スタートアップのTRIPLE-1は12月14日、戦略的パートナーシップを構築する覚書を締結したと発表した。覚書に基づいて、アジャイルエナジーXが主体となって、再生可能エネルギーの余剰電力と、TRIPLE-1の先端半導体をハイブリッドさせた「分散型データセンター」を日本各地に展開する事業を開始する。

分散型データセンターは、スマートシティ・自動運転・メタバースに必要となる膨大なデジタルデータを処理するための施設。全国各地に設置したデータセンターを連結させて同時並行で動かすことによって、1つの巨大なコンピューター・システムとして機能する。

この事業の大きな目的は、データセンターなどの新しい需要を生み出すことで再生可能エネルギーの余剰電力を「地産地消」することにある。再生可能エネルギーを使って発電を行っても、需要を超えた電力は使われずに捨てられてしまうという課題がある。

分散型データセンターでは、メタバースや自動運転のためのビッグデータの高速処理はもちろん、暗号資産マイニングも想定されているようだ。

アジャイルエナジーXは、東京電力PGが打ち出した「MegaWatt To MegaHash(MW2MH)」、つまり電力をデジタル価値に転換するというコンセプトを実現するための子会社、またTRIPLE-1は最先端のビットコイン(BTC)マイニング用AISC(特定用途向けIC)の開発を手がけている。

余剰電力をデータセンターで消費できれば、余剰電力を有効活用できるだけでなく、送電網に負荷をかけることもなくなる。

3社はすでに1300台の演算コンピューティング・システムを搭載したデータセンターを首都圏に建設。TRIPLE-1のビットコインマイニング用ASIC「KAMIKAZE」も一部導入されている。2030年までに全国に10万kW規模の分散型データセンターの整備を目指すとしている。

|文・編集:coindesk JAPAN編集部
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※編集部より:本文を一部修正して更新しました。