オンチェーンデータによると、トレーダーは暗号資産(仮想通貨)取引所フォビ(Huobi)の継続的な健全性に懐疑的になっているのかもしれない。
フォビが20%の人員削減を認めた後、フォビトークン(HT)は乱高下し、同取引所からは24時間で6400万ドル(約86億円)相当の暗号資産が引き出された。ブロックチェーン分析企業のナンセン(Nansen)のデータによると、これで1週間の流出額は1億ドル(約134億円)を超え、ライバルのクラーケン(Kraken)の2200万ドルと比較すると、その差は歴然としている。
ナンセンは、残高の多いステーブルコインであるテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)、そしてイーサリアム(ETH)のウォレットからの引き出しが最も多かったと指摘している。
In the past 24 hours, Huobi has seen a significant increase in net outflows
— Nansen 🧭 (@nansen_ai) January 6, 2023
$60.9M* of the $94.2M* net outflow in the past week occurred in the past day alone
*Contains Ethereum, Avalanche, BNB Chain, Fantom, & Polygon flows pic.twitter.com/JV1Tg13QMY
一方、フォビのアドバイザーであるトロン(Tron)創設者のジャスティン・サン(Justin Sun)は、フォビに1億ドルを送った。オンチェーン・リサーチのLook On Chainによると、サン氏はバイナンスからUSDTとUSDCで1億ドルを引き出したという。さらにEtherscanのデータを見ると、1億ドルはフォビに送られたことが示されている。
サン氏は、フォビーの成功の鍵は「FUD(恐怖、不確実性、疑念:fear, uncertainty and doubt)を無視してやり続けること」とツイートした。
フォビのステーブルコインの残高は現在6億8100万ドル(約914億円)で、1週間で9.5%減少した。2022年11月、FTXが破綻する前には、FTXからのステーブルコインの流出が急増していた。
フォビトークンをめぐる健全性への懸念
分析会社CryptoQuantのCEO、キ・ヨン・ジュ(Ki Young Ju)氏は「フォビは現在、非常に脆弱な状態にあるようだ」と述べている。
同氏は、フォビのビットコイン(BTC)準備金が過去1年間で90%減少していることに対し、バイナンス(Binance)は2倍以上になっていると指摘した。CryptoQuantによると、フォビのアクティブユーザーアドレスも大幅に減少している。
「フォビのアクティブユーザーは2019年5月のピーク時から40分の1以下になり、2023年1月3日の時点でバイナンスの20倍の1になっていた」とレポートで述べた。
この厳しい状況で特に懸念されていることは、フォビトークン(HT)をめぐる健全性だ。
CryptoQuantが最近のレポートで指摘したように、主要取引所の中で、フォビの保有資産は「最もダーティ」で、自社のフォビトークンにかなり依存している。一方でOKXとデリビット(Deribit)は最もクリーンだという。
ナンセンは、フォビトークンの流通供給量の81%、つまり1億6220万HTのうち1億3160万HTをフォビ自身が保有していると指摘する。
CoinGeckoのデータによると、フォビトークンの24時間の取引高は、時価総額7億7000万ドル(約1034億円)に対し、わずか2100万ドル(約28億2000万円)だった。
時価総額に対する取引高、いわゆるデプス(市場の厚み)は2%強にとどまり、CoinGeckoのデータでは同程度の時価総額を持つ他の暗号資産に比べると小さい。暗号資産データ企業カイコ(Kaiko)のリサーチディレクターであるクララ・メダリー(Clara Medalie)氏は最近のコラムで、デプスが2%未満だったことは、FTXの取引所トークン「FTT」にとって危険信号だったと指摘している。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Crypto Exchange Huobi Experiences Heavy Token Outflows: Nansen