暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの崩壊により、規制されたカストディアンの利用に注目が集まっており、カストディアンの収益機会は現在の3億ドル(約386億円)未満から2033年までに80億ドル(約1兆300億円)に成長する可能性があると、投資会社のバーンスタイン(Bernstein)は1月17日に発表した調査報告書で述べている。
バーンスタインのアナリスト、ゴータム・チュガニ(Gautam Chhugani)氏とマヌス・アグラワル(Manus Agrawal)氏は「暗号資産カストディは機関投資家による投資を可能にするための基盤だ」とし、「従来の保管とは異なり、仮想通貨の保管は秘密鍵を保護することがすべてであり、より技術的な取り組みだと言える」と付け加えている。
バーンスタインでは、FTXの破綻以降、既存投資家への「暗号資産カストディの浸透」が急増し、暗号資産市場への機関投資家の参入の増加により、中期的にカストディサービスが急成長すると予測している。
さらに、暗号資産会社や銀行が暗号資産市場に参入する投資家にウォール街のようなカストディ、マーケットメイキング、プライムブローキングといったサービスを提供することは大きな収益機会になるとバーンスタインは述べている。
機関投資家の参入が増え、それに伴って時価総額の大きいコインから人気のないトークンまで流動性需要が高まるため、マーケットメイキングも増加する見込みだと報告書では述べている。マーケットメーカーとは資産や証券に流動性を提供する会社のことを言う。
機関投資家が暗号資産市場に参入する際は、OTC(相対取引)トレーディングデスク、デリバティブ、融資、その他のストラクチャード商品などのプライムブローキングサービスも必要になるため、バーンスタインはこの分野が2033年までに140億ドル(約1兆8000億円)の収益機会に成長する可能性があるとしている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bernstein Says Custody Services Are the Foundation for Institutional Crypto Adoption