暗号資産とナスダックの相関関係が11月以来の高水準に──米CPIに注目

暗号資産(仮想通貨)市場とテクノロジー企業が多いナスダック総合指数との相関関係はプラスに転じており、暗号資産投資家がウォール街のリスク選好に再び注目していることを示している。

TradingViewのデータによると、暗号資産市場の時価総額とナスダック指数の90日間の相関係数は、4週間で-0.12から0.74に上昇し、11月初旬以来最高を記録した。

言い換えれば、暗号資産市場は再びテクノロジー株と連動して動いている。テクノロジー株が高値で取引された日は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨も同じ動きをする可能性が高い。逆に、テクノロジー株の下落は暗号資産市場を引き下げる可能性があるということだ。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が今年後半に利下げに踏み切るという憶測が、流動性依存のリスク資産の相関関係を再燃させた背景にあると思われる。ウォール街のリスクリセットにもかかわらず、暗号資産投資家がトークンを投げ捨てたサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman Fried)氏の暗号資産取引所FTXの崩壊のおかげで、長らく続いた正の関係が11月に崩れていたのだ。

相関関係とは、特定の期間における2つの資産または商品のリターンまたは一般的な値動きの比較によって決定される。相関が1に近い場合は、2つの資産が同じ方向に一致して動いていることを示す。一方、負の相関は、2つの資産が逆方向に動いていることを意味する。

正の相関は、アメリカのCPI発表のような株式市場に影響を与える要因に対する仮想通貨の感度が高まっていることを示唆している。(CoinDesk/TradingView)

新たな正の相関関係は、株式市場にボラティリティをもたらすアメリカの消費者物価指数(CPI)などのマクロ経済データの発表に対する暗号資産の感度が高まっていることを意味する。 MarketWatchによると、昨年のCPI発表日は米国株にとって変動の激しい日だった。

FXStreetから入手したロイターの推定は、火曜日にアメリカ労働省労働統計局(BLS)から発表されるCPIは、1月のインフレ率が12月の6.5%から6.2%に低下している可能性が高いと見ている。また、変動の激しい食品とエネルギーの分野を除いたコアCPIは、5.7% から 5.5% に低下すると予測されている。

予想を上回る数字だった場合は、金融緩和を支持するいわゆるFRBピボットへの期待を打ち砕き、テクノロジー株と仮想通貨を押し下げる可能性がある。

「火曜日のCPI発表は大きな数字になりそうだ。CPIが予想より高くなった場合、最近見られたNFP(非農業部門雇用者数)のサプライズを考えると、これはリスク資産がかなり弱気であることを証明する可能性がある」と、暗号資産データプロバイダーのアンバーデータ(Amberdata)のグレゴワール・マガディーニ(Gregoire Magadini)氏は日曜日に発行されたレポートに書いている。

一方、Steno Researchの創設者兼CEOであるアンドレアス・ステノ・ラーセン(Andreas Steno Larsen)氏によると、CPIデータは予想より低くなる可能性が高いという。もしそうなれば、FRBの利下げ観測が強まるだろう。

ラーセン氏は、先週購読者に送ったメモの中で「我々のモデルと指標(先行指標と遅行指標)に基づいて、ヘッドラインとコアでそれぞれ6.1%と5.3%の近辺になると予測している」と述べている。

ラーセン氏は「賃金はあらゆる意味のある将来予測の指標で減速しているが、住宅はCPIの現実に比べて極端に印象づけられており、これはヘッドラインに比べてコアで大きな下振れが見られるであろうことを意味する」と指摘し、エネルギー、中古車を含む商品価格、適正価格への疲労感がプラスに寄与すると予想している。

暗号資産市場の時価総額は最近、1兆600億ドル(約140兆5000億円)と6カ月間の最高値に上昇し、記事執筆時点では9480億ドル(約125兆6600億円)で年初から25%上昇している。ナスダックは今年に入って12%上昇している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/TradingView
|原文:Correlation Between Crypto Market and Nasdaq Turns Positive Ahead of US CPI Release