日銀、4月から中央銀行デジタル通貨のパイロット実験

日本銀行は2月17日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する実証実験を実施すると発表した。

日本銀行は、2020年10月に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」に沿って、2021年4月から、CBDCの実証実験を進めている。このうち「概念実証(PoC)」は今年3月に終了、次いで4月から「パイロット実験」を実施するという。

パイロット実験では、中央システム、仲介機関ネットワーク、仲介機関システム、エンドポイントデバイスまでを一体的に実装する実験用システムを構築する。店舗や消費者が関与する実取引は現時点では想定されていない。

また「CBDCフォーラム」を設置し、リテール決済に関わる民間事業者に参加を求め、幅広いテーマについて議論・検討を行う。フォーラム参加者の選定方法などについては、3月中に説明会を実施する予定。

CBDCの導入は世界中で検討が進めら、実際に導入が始まっている国もある。特に中国では「デジタル人民元」が北京、上海、深センなどの都市で実験的に展開されており、2019年12月のスタートから2022年8月までに取引高は1000億人民元(約139億ドル、約1兆8000億円、1ドル=130円換算)に達したと伝えられている。

カンボジアは2020年10月から日本のフィンテック企業ソラミツが開発した技術を採用して、CBDCを運用。ソラミツは先日、ラオス中央銀行との実証実験に向けた覚書(MOU)締結を発表した。

CBDCの日本での導入について、日本銀行は発表に「現時点では決まっておらず、今後の国民的な議論の中で決定されるべきものと考えています」と記している。

日本ではICカード決済やQRコード決済など、さまざまな決済手段が登場している。CBDCはこうした決済手段をつなぐインフラとなり、ユーザー視点で考えると、決済サービス間の垣根がなくなると考えられる。ビジネス面では決済の簡素化・迅速化が想定される。

|テキスト・編集:増田隆幸
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