NFT取引高、2月は20億ドル──Blurが人気を集め、テラ崩壊以前の高水準に

NFTマーケットのシェア争いは結局のところ、ポジティブな影響をもたらしているのかもしれない。

Web3データプラットフォームDappRadarの最新レポートによると、NFT取引高は2月、20億ドルに達し、2022年5月のテラ(Terra)ブロックチェーン崩壊以前の高水準となった。

取引手数料ゼロ

取引高急増の多くは、取引手数料ゼロのマーケットプレイスBlurの人気によるものだ。NFTの取引数は1月から約32%減少したが、取引高は約120%増加。その多くは、2月中旬に行われたBlurのネイティブトークンのエアドロップを見込んで行われたインセンティブ付き取引が関連している。

だがDappRadarのブロックチェーン・リサーチアナリスト、サラ・ゲルゲラス(Sara Gherghelas)氏は、Blurはシェアを獲得して業界リーダーのOpenSea(オープンシー)に挑んでいるが、新しいトレーダーを引き入れてはいないと述べた。オープンシーが個人トレーダーをターゲットにしているのに対し、Blurはプロトレーダーに注力していることが影響しているようだ。

「Blurは(NFTの)普及にはつながらない。現状、NFT発行で盛り上がりを生むだけ。だがやっていることは印象的だ」(ゲルゲラス氏)

Blurは2022年10月にスタートして以来、手数料ゼロをアピールし、NFTを大量購入するトレーダーに注力してきた。2月のネイティブトークンのエアドロップに先立ち、Blurで取引を行うことでネイティブトークン「BLUR」を受け取る権利が得られるというインセンティブ施策を打ち出し、瞬く間に人気を集めた。トークンのエアドロップ後、2月15日には初めて1日あたりの取引高でOpenSeaを上回った。

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ユガラボの取り組み

Blurが2月のNFT取引高の急増に大きな役割を果たした一方で、DappRadarは、ユガラボ(Yuga Labs)のNFTコレクションが2月のイーサリアム(ETH)ベースのNFT取引高の30%に貢献したことにも触れている。ユガラボの「Dookey Dash」の発行はこの数字に大きく貢献した。今週初め、Dookey Dash関連のあるNFTは160万ドル(約2億1600万円、1ドル135円換算)で取引された。

ユガラボの熱心な顧客は、一般的にNFTで重要とされる希少性を気にかけておらず、同社が構築するコミュニティの一員となるために、発売されたものは何でも購入するとゲルゲラス氏は語った。

さらにユガラボの顧客は、今後発売されるジェネレーティブ(生成)アートのビットコインNFTコレクション「TwelveFold」も進んで購入するだろうと指摘した。

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「TwelveFoldは、ユガラボが市場を支配しようとする新しい別の方法だ。ユガラボがこれを発売しようとした理由は興味深い…市場を進化させるような面白いなにかかもしれない」

Web3ゲームの進化

DappRadarのレポートは、ユガラボのファンがゲーム要素を持つDookey Dashをプレイしようと殺到したことは、ブロックチェーンゲームによっての強気サインにとどまらないと記している。

アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)が切り開いたプレー・ツー・アーン(P2E)モデルは2022年に衰退した。だが2023年は、Web3のゲームプロジェクトはメタバースに焦点をあて、ユニティ(Unity)などのゲームエンジンのサポートを得て、優れたプロジェクトを開発できるようになるとしている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Blur.io
|原文:NFT Trading Volumes Hit $2B in February, Highest Since LUNA Crash, Thanks to Blur