暗号資産(仮想通貨)を銀行システムに結びつける決済サービスプロバイダーのBCBグループは、最近閉鎖された暗号資産に特化した銀行であるシルバーゲート(Silvergate)が残した穴を埋めるために、米ドル決済機能を追加する計画を加速させていると、CEOのオリバー・フォン・ランズバーグサディ(Oliver von Landsberg-Sadie)氏が米CoinDeskとのインタビューで語った。
ロンドンに拠点を置くBCBは、イギリスの規制当局である金融行動監視機構(FCA)から決済ライセンスを取得した最初の暗号資産企業であり、ヨーロッパでイギリスポンド、ユーロ、スイスフラン、円などの法定通貨から暗号資産へのレールをビットスタンプ(Bitstamp)、ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)、ジェミニ(Gemini)、クラーケン(Kraken)といった機関投資家に提供している。
銀行取引は、暗号資産企業にとって厄介な問題だ。暗号資産企業の多くは、伝統的な金融の再発明を最終目標に掲げている。最近の破綻やスキャンダルは、アメリカの規制当局の散弾銃のような対応を誘発し、少なくともシルバーゲートに関しては暗号資産銀行に対する締め付け作戦と見なすことができるだろう。
BCBは2020年半ばに即時決済ネットワーク「BCBリキッドリー・エクスチェンジ・ネットワーク・コンソーシアム(BLINC)」を立ち上げた。これは、ユーロ、イギリスポンド、スイスフランの即時グロス決済システムで、シルバーゲートが最近までアメリカでドルで取引する大規模な仮想通貨クライアントに提供していたシルバーゲート・エクスチェンジ・ネットワーク(SEN)と同様のものだ。
ニューヨークを拠点とするシグネチャー・バンク(Signature Bank)のSignetもSENに相当するもので、米ドルの即時決済のための2番目に大きなネットワークであり、需要の一部を満たしていることは注目に値する。とはいえ、BLINCのドル建てのコンポーネントは1年ほど前から開発中で、ローンチの準備は整っているとランズバーグサディ氏は述べている。
シルバーゲートがネットワークを停止したというニュースを受けて、ランズバーグサディ氏は「もちろん、できるだけ早くローンチしようと思っている。BCBとシルバーゲートの顧客は重複しているため、SENの停止によって影響を受けた人々が何らかの継続性を得られるように、必要なことは何でもするつもりだ」と述べた。
BLINCとSENの主な違いは、BLINCが多通貨対応で、シルバーゲートやシグネチャー・バンクのように単一の信用機関に縛られていないことだとランズバーグサディ氏は言う。そして、イギリス、スイス、ユーロ圏などの銀行にサービスを提供する決済機関として構築されたもので、預金を預かるようには設計されていないと彼は付け加えた。
ランズバーグサディ氏は「これは非中央集権的なモデルだ」と述べている。「シルバーゲートとシグネチャーで得られるものは、主に支払いの問題に適用される信用機関のソリューションだ。シルバーゲートの問題は、2022年のクレイジーな市場で巻き戻すことが不可能なポジションである、短期現預金に対する長期ビットコインの賭けを許可したことから始まった。BLINCの資金は、1:1、レバレッジなし、再担保なし、常に正確に保護された資金と1:1だ」。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:BCBグループ創業者兼CEOのオリバー・フォン・ランズバーグサディ氏(BCB Group)
|原文:Crypto Banking Firm BCB Readies U.S. Dollar Payments to Plug Silvergate Gap