ビットコイン月足チャート
- 今年のビットコイン月足は、1月、2月と陽線となりプラスで取引されました。2月は4.7%と小幅な上昇でしたが、昨年夏の水準まで値を戻しました。一方、昨年夏の340万円近辺が現在もレジスタンスとなり、上値が重い展開となっています。
- 月足全体で見ると、高値を切り下げる動きが続いています。340万円を超えることができるかはチャートストラクチャーの観点から重要な値動きと言えます。月足自体は3カ月移動平均線(3EMA)の上位で推移しており、底堅い動きが見られます。
ビットコイ日足チャート
- 日足は先週、310万円のサポートを下に抜け、短期移動平均線(14EMA)の下位で推移しています。ここ2週間の安値圏で推移しており、短期的には弱気の値動きが見られます。反発も現在のところ弱く、下値を探る展開と言えるでしょう。
- オシレーターのMACDで下落傾向が続いており、モメンタムの低下を示しています。このまま下落するとマイナス圏へ突入し、弱気のシグナルが発生することになります。ボラティリティ指数のADX(30)も下落傾向が続いており、1月から発生した上昇トレンドが終了に近づいていることを示唆しています。
米国10年金利週足チャート
- 米国10年国債金利は足元で上昇しています。12月の高値を超え、先週は4%を再度突破しました。1月にはインフレーションが順調に沈静化するとの見通しから下落していましたが、2月以降は強い経済指標が出ておりインフレーション懸念が再燃し始めました。市場では米国の中央銀行の利上げが長引くとの観測が増しています。金利の上昇は投機マネーを市場から引き上げる効果があります。このまま上昇が続けば、ビットコインを買う資金も縮小するでしょう。
ビットコイン・デリバティブチャート
資金調達率(FR)
先物取引価格乖離率
- ビットコインのFRは足元で小幅にプラスで推移しています。先週価格が下落した際にプラス幅は縮小しましたが、まだプラスで推移しておりロングポジションの比率が高いことを示しています。現在のFRは0.0001%で推移しています。
- 3カ月先の先物価格と現物価格の乖離率は足元で下落傾向にあります。2月には一時5%を超えて推移していましたが、現在は3.3%で推移しています。足元で下落していますが、ここ6カ月間で見るとまだ高い水準であると言えます。まだ投機筋は買いポジションを抱えていることを示唆しています。
まとめ
- ビットコインの月足チャートは移動平均線の上位で底堅く推移していますが、日足は弱気な形となり短期で売られていることがわかります。米国の金利は上昇傾向にあり、新たに大きな資金が市場へ流入しづらい環境となっています。デリバティブ市場では、投機筋のロングポジションがまだ溜まっており価格が下落した際の燃料となるでしょう。市場全体では買い目線のトレーダーにとっていい相場状態とは言えないでしょう。
真田雅幸:ビットバンク(bitbank)マーケット・アナリスト──カリフォルニア州立大学で経済学を専攻し社会のお金の流れについて興味を持つ。大学在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankで業界に関する調査業務を行いながら同社のメディアで寄稿を行う。2015年冬頃からビットコインへの投資、トレードを徐々に始める。最近は基本的なテクニカルに加え、デリバティブ情報やオンチェーン情報も分析しながらトレードを行う。
|編集:増田隆幸
|トップ画像:bitbank