ビットコイン、3週間ぶりの安値──2万2000ドル付近まで下落

ビットコイン(BTC)は8日、3週間ぶりの安値まで下落、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会でのタカ派的な発言が影響した。

米CoinDeskのデータによると、ビットコインはアジア取引時間中に2万1871ドルまで下落、3週間ぶりの安値となった。日本時間8日18時30分過ぎには2万2985ドル付近。イーサリアム(ETH)も前日7日の安値1535ドルに再び近づいている。

パウエル氏は7日、FRBは以前の予想よりも大きな利上げを行う可能性が高いと述べ、インフレ率を2%の目標まで押し下げるプロセスは「長い道のり」だと警告した。昨年以来、FRBは金利を4.5%まで引き上げ、暗号資産(仮想通貨)をはじめとするリスク資産に影響を与えている。

パウエル議長のタカ派的な発言を受けて、FF金利先物トレーダーは金利のピーク予想を今週初めの5.47%前後、1カ月前の4.9%から5.65%に引き上げた。つまり、トレーダーはまだ今後数カ月は引き締めが続き、FRBは少なくともさらに1%の利上げを行うと予想している。

(TradingView/CoinDesk)

FF金利先物をを詳しく見ると、トレーダーはFRBによる「金利は高く、長く」というアプローチを織り込み済みであることがわかる。FF金利先物は、トレーダーの金利予想を示すために広く使われているデリバティブ取引。

金利上昇の影響は?

また別の指標でも、市場は現在、FRBが今月末に0.5%の利上げを行う確率を70%と見ており、0.25%だった2月から再度、引き締めを加速させることになる。金利予想に敏感な米国債2年の利回りは、2007年以来初めて5%を超え、さらに5.655%まで上昇する可能性がある。

金利/利回りの上昇はリスク資産の魅力を損ない、ビットコインが現在の価格を維持することは難しくなる可能性があるとQCP Capitalは指摘。同社は先月、ビットコインは弱気相場の最終局面を迎えておらず、11月の安値1万5480ドルを下回らないまでも、価格が下落する可能性があると述べていた。

しかし、マクロトレーダーで、人気ニュースレター「Fidenza Macro」の執筆者ゲオ・チェン(Geo Chen)氏は、利回りの上昇がリスク資産の大幅な下落につながるとは考えていない。

「私の長期的な見解では、ディスインフレ状況に戻れば、リスク資産は上昇トレンドになる。ただし、これには数カ月かかる可能性がある」とチェン氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Slips to 3-Week Low as Market Sees Federal Reserve Lifting Rates to 5.65%