「価値の保存手段」としてのビットコインを評価する【コラム】

よくある質問。ビットコイン(BTC)は「価値の保存手段(store of value)なのか?

賛成派は迷うことなく「YES」と答える。だが、懐疑派は過去の大きな下落を指摘する。それは正しい。

2021年11月、ビットコインは約6万5000ドルまで上昇したが、今は2万5000ドル前後、ほんの1週間前は2万ドル前後だった。

しかし当初は1セント以下で取引されていた。価格だけを見れば、最初の質問に対する答えは「判断が難しい」となる。

投機的で価格発見の段階にある資産にとって、ボラティリティは予想されるべきものだ。新たなチャンスやテクノロジーは投機家やトレーダーの注目を集め、真の価値を見極めようとするなかでしばしば乱高下が起こる。

懐疑論を伴った関心の高まりや論争、業界の成長過程でのさまざまな障害、そして高値と安値のジェットコースターは、わずか14年の歴史を考えれば納得できる。

ビットコインはお金の健全な性質(耐久性、携帯性、希少性、均一性、分割可能性)を備えているが、広く普及するかどうかが最後の不安要素だ。

以下のオンチェーン指標を使って、ビットコインユーザーがそのボラティリティにもかかわらず、ビットコインは「価値の保存手段」と信じていることを証明したい。

リアライズド・キャピタリゼーション

ビットコインが「価値の保存手段」として使われていることを示すひとつの指標は「リアライズド・キャピタリゼーション (Realized capitalization)」だ。時価総額とは異なり、この指標は各コインの最後の譲渡価格を考慮したものだ。

つまり、リアライズド・キャピタリゼーションはビットコインユーザーの総コストベース(総取得価格)であり、時間とともにビットコインネットワークに蓄積された金額を示す。

筆者にとって、これは資金流入の代わりとなるものだ。リアライズド・キャピタリゼーションは、以前よりも高い価格で取引されると上昇し、低い価格だと下落する。

Glassnodeによると、ビットコインのリアライズド・キャピタリゼーションは約3800億ドル(約51兆3000億円)、ピーク時の4600億ドル(約62兆1000億円)から減少している。だが重要なことは、この数字は2017年12月、ビットコインが現在の価格付近で取引されていた時の4倍になっていることだ。

つまり、ビットコインネットワークにお金が流れ込んでいる──価値を保存するために。

Joe Orsini, Glassnode

保有トレンド

さらに、ビットコインユーザーはまた、ビットコインを長期保有している。先週、2021年後半からの価格下落にもかかわらず、長期保有されているビットコインの割合は過去最高を記録した。

3月7日現在の保有期間ごとの割合(Glassnodeのデータ)は以下のとおり。

  • 1年以上:67.7%
  • 2年以上:51.4%
  • 3年以上:39.2%
  • 5年以上:28.3%
Joe Orsini, Glassnode

結論

「perception is reality(認識は現実)」という言葉がある。ビットコインは本質的に、存在自体に意志が込められていることを忘れてはならない。雑音や懐疑的な見解にもかかわらず、ビットコインには資金が流入し続け、ユーザーは長期間保有している。

この次、誰かがビットコインの「価値の保存手段」としての用途に疑問を示したら、これらのグラフを見せてほしい。サトシ・ナカモトが書いたように「If enough people think the same way, that becomes a self fulfilling prophecy.(多くの人が同じように考えれば、自己実現的な予言になる)」。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Evaluating Bitcoin as a Store of Value