シグネチャー銀行は12日、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)が事業停止を決定し、米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に移った。その後、FDICは売却先を探しているが、買い手は大きな注意事項に同意する必要があると伝えられている。暗号資産を取り扱わないことだ。
ロイターが15日午後、関係者の話を引用して伝えた。
シグネチャーの2日前にはシリコンバレー銀行が破綻、その前にはシルバーゲート銀行が任意清算を決めた。3つの銀行は暗号資産に特化、あるいは暗号資産に前向きな銀行として知られていた。
預金の4分の1を暗号資産関連の顧客が占めていたシグネチャー銀行は、監視の甘さからマネーロンダリングを許した可能性があるとして、米司法省(DOJ)と米証券取引委員会(SEC)の調査を受けていると伝えられた。
2月には同行に対して、「今や悪名高いFTX詐欺」を認識しており、助長したとして集団訴訟が提訴された。具体的には「同行のブロックチェーンベースの決済ネットワークであるSignet内でのFTXの顧客資金を混同」を認識しており、それを許可していたと訴えている。
アンチ暗号資産のメッセージか
米通貨監督庁(OCC)の元長官代理で、一時期バイナンスUSのCEOを務めたブライアン・ブルックス(Brian Brooks)氏をはじめとする暗号資産業界の多くの人は、3つの暗号資産フレンドリーな銀行の閉鎖は、暗号資産業界を銀行システムから締め出すための規制当局の協調的な取り組みと推測している。
シグネチャー銀行の取締役で、金融危機の再発防止を目的とした「ドッド・フランク法」を共同起案した元下院議員のバーニー・フランク(Barney Frank)氏も、規制当局の動きはアンチ暗号資産という動機によるもので、シグネチャーバンクは支払能力を維持していたが、規制当局がメッセージを送るために介入したとCNBCに語った。
「今回起こったことの要因のひとつは、規制当局がきわめて強いアンチ暗号資産のメッセージを送りたかったということだと思う」(フランク氏)
一方、NYDFSは、シグネチャー銀行の事業停止の決定に暗号資産が関係していることを否定。同行のリーダーシップに対する「信頼危機」が原因と述べている。
ロイターによると、シグネチャー銀行買収の入札は3月17日まで行われるという。
FDICにコメントを求めているが、当記事執筆時点までに返答はなかった。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Signature Bank’s Prospective Buyers Must Agree to Give Up All Crypto Business: Report