ファンドが保有するビットコイン、2021年10月以来の低水準に

アメリカの銀行破綻により、連邦準備制度理事会(FRB)が早期に流動性緩和に傾くとの観測が高まり、ビットコイン(BTC)ファンドがコインを流出させている。

ByteTree Asset Managementのデータによると、ヨーロッパ、アメリカ、カナダのクローズエンドファンド、スポット、先物に特化した上場投資信託(ETF)が保有するコインの数は今月1万6560BTC(4億900万ドル、約544億円)減少し、17カ月ぶりの安値となる82万6113BTCになった。

ETFのように、暗号資産(仮想通貨)を所有することなくビットコインへのエクスポージャーを取ることができる投資手段は、機関投資家の活動の代行だと広く考えられている。

残高の減少は、安全資産としての需要と今年後半のFRB利下げへの期待の再燃によって引き起こされたとされるビットコインの最近の上昇に、機関投資家が参加していないことを示唆している。一部の観測筋によると、今回の上昇は、銀行システムに対するヘッジとしてビットコインの魅力が高まっている証拠であるという。

ビットコインは、かつてアメリカでトップ20に入る金融機関であったシリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank)が業務を停止した後、3月10日遅くに1万9600ドル付近で強い買いが見られた。米CoinDeskのデータによると、価格はその後25%以上上昇し、14日には9カ月ぶりの高値となる2万6501ドルに達した。

ビットコインファンドが再び資金を流出させている。(ByteTree)

ByteTree Asset Managementの最高投資責任者であるチャーリー・モリス(Charlie Morris)氏は米CoinDeskに、「BTCが本当にここにとどまるという物語を、金融機関は受け入れていない」と語った。「世界的に資産管理業界は、ビットコインも金も非常に薄い商いになっている」。

しかし、モリス氏は、データから結論を出すことに注意を促し、一つのファンドからの大きな流出が、数値を引き下げる主な原因だったと述べている。

また、ファンドの保有残高の減少は、必ずしも価格の上昇が力強さに欠け、持続不可能であることを意味するものではない。Matrixportのリサーチ&戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、ファンドの保有残高が市場全体に占める割合は小さく、他の需要源が価格を上昇させていると述べている。

「ファンドの保有データには意味がない。USDコイン(USDC)保有者がそのステーブルコインをBTCに変換しているのではないか」とティーレン氏は指摘する。バイナンス(Binance)は最近、バイナンスUSD(BUSD)で保有する10億ドル(約1330億円)相当の資金をビットコイン、バイナンスコイン(BNB)、イーサリアム(ETH)に変換すると発表した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Held in Funds Drops to Lowest Since October 2021, ByteTree Data Shows