米財務省、中国籍「麻薬密売人」のビットコインアドレスをブラックリストに追加

米財務省の外国資産管理局(OFAC)は、マネーロンダリングや麻薬密輸に関わる法律に違反したとして、中国人3人と、彼らの仮想通貨アドレスを制裁リストに追加した。

OFACは、シャオビン・イェン(Xiaobing Yan)、フージン・ジェン(Fujing Zheng)、グアンフア・ジェン(Guanghua Zheng)の3人を外国麻薬中心人物指定法(Foreign Narcotics Kingpin Designation Act)の定める麻薬密売人とし、3人がアメリカ国内で所有するすべての資産を凍結し、3人に関連するメールエイリアス、国民番号、そしてパスポート情報をリストに記載した。

OFACはさらに、これら3人が所有するとされる、いくつかのビットコインアドレス、および1つのライトコインアドレスもリストに記載した。

プレスリリースによると、フージン・ジェンは「重要な外国人麻薬密売人」であり、グアンフア・ジェンの助けを受けていた。イェンは2人とは別に「重要な外国人麻薬密売人」との指定を受けた。

OFACは2019年8月21日(現地時間)、3人に加えて、チンシェン・ファーマスーティカル・テクノロジー(Qinsheng Pharmaceutical Technology Co. Ltd.)とジェン・ドラッグ・トラフィッキング・オーガニゼーション(Zheng Drug Trafficking Organization)もリストに記載した。

OFACは、米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)や法執行機関と連携をしたと、米財務省でテロ・金融犯罪を担当するシーガル・マンデルカー(Sigal Mandelker)財務次官は声明の中で語った。

今回の指定にあたり、オハイオ州北部連邦地検、ミシシッピ州南部連邦地検、米司法省犯罪部、米麻薬取締局(DEA)のクリーブランドおよびガルフポート事務所、そしてDEAの特殊部門と連携を図った、とプレスリリースには記されている。

「本日OFACが指定した中国籍の麻薬密売人たちは、致死的な麻薬の製造・販売を行う国際的な麻薬密輸活動を行なっており、アメリカ国内におけるオピオイド中毒、過剰摂取、死などの危機に直接寄与している」とマンデルカー氏は述べ、次のように続けた。

「(フージン)ジェンとイェンは、オンライン広告・販売を通じて顧客を狙い、民間の配達業者を利用してアメリカに麻薬を密輸し、何百箱もの合成オピオイドをアメリカへと発送した」

2件目の事例

今回の動きは、OFACが具体的なデジタル通貨アドレスを制裁リストに加えた2件目の事例となる。前回は2018年11月で、イラン人2人がSDN(Specially Designated Nationals)リストに加えられた。

当時マンデルカー氏は、OAFCは「デジタル通貨領域で活動する犯罪者を特定するために、デジタル通貨アドレスを公表」している、と述べた。

外国麻薬中心人物指定法に違反した個人は、500万ドル(5億3200万円)の刑事罰と最大30年の懲役に加え、違反1件につき110万ドル(約1億1700万円)の民事罰を科せられる可能性がある。

投資顧問企業のアテナ・ブロックチェーン(Athena Blockchain)で顧問弁護士を務め、法律事務所カールトン・フィールズ(Carlton Fields)に所属する弁護士のドリュー・ヒンクス(Drew Hinkes)氏はCoinDeskに対し、これら中国人3人がアメリカ国内に所有する資産、そして資産から得られる利益は全て凍結され、OFACに報告されなければならない、と述べた。

「アメリカの組織は、OFACの要件を遵守し、リストに記載された口座を閉鎖する必要があります」と、同氏は述べた。

SDNリストによると、下記アドレスが中国人3人と関連している。

シャオビン・イェン:

フージン・ジェン:

グアンフア・ジェン:

翻訳:山口晶子
編集:町田優太
写真:Sigal Mandelkar image via CoinDesk archives
原文:US Treasury Blacklists Bitcoin, Litecoin Addresses of Chinese ‘Drug Kingpins’