あるオンチェーン指標は、ビットコイン(BTC)への投資意欲が衰えている可能性を示している。
CryptoQuantが提供する「ステーブルコイン比率(Exchange Stablecoins Ratio:ESR)」──取引所のビットコイン準備金を取引所が保有するステーブルコイン準備金で割ったもの──は、2021年5月以来の高水準に上昇している。
この指標は通常、潜在的な買い圧力/売り圧力の指標となる。ESRの低下は、ビットコイン準備金に対して取引所のステーブルコインが増加していることを示す。ESRの上昇は、その逆。
ステーブルコインは主に暗号資産を購入するために使われるため、比率が低い(=ステーブルコインが増加)ほど買い圧力が高いことになる。
最近の比率の上昇は、投資家が取引所へのステーブルコインの移動を減らし、ビットコインを増やしている、あるいは両方を同時に行っていることを示している。
いずれも、アメリカでの銀行破綻や暗号資産に対する規制強化を受けて、投資家が現在の投資環境に不安を感じていることで、売り圧力が増している可能性を示している。
売却の準備を整える投資家
ステーブルコインの供給量が相対的に減少したタイミングは、3月10日以降のビットコイン価格の30%以上の上昇と重なるが、これは状況が悪化する前の話だ。
理論的には、価格上昇後に投資家がさらなる上昇を期待していれば、取引所へのステーブルコインの移動はさらに増加するはずだ。
そうではなく、ビットコイン価格の上昇に伴って、比率が急上昇したことは、少なくとも投資家がビットコインが下落するような事態が発生した場合、迅速に売却できる準備を整えていることを意味する。
そうした出来事の一例として、バイナンスとチャンポン・ジャオCEOに対する米商品先物取引委員会(CFTC)の提訴があげられる。提訴を受けて、ビットコインはその後の数時間で大きく下落した。
もう1つのオンチェーン指標も投資家の警戒心を示している。ビットコインの利益率を示す「aSOPR(adjusted spent output ratio)」は、1.0を超えると投資家が利益を出して売却していることを示し、1.0を下回ると投資家が損失を出していることを示す。
現在の1.0452は、前者を示している。一般に、資産を売却して利益を得ることはポジティブに捉えられるが、価格が上昇している最中に利益確定を行うことは、上昇の足踏みを懸念させることになる。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:On-Chain Stablecoin, Profitability Ratios Signal Investor Caution