インドのCBDC、3カ月で利用者100万人を目指す

インドのリテール中央銀行デジタル通貨(CBDC-R)の設計者は、デジタルルピーの使用を100万人のユーザーに拡大することを目指しており、オフライン決済という課題の解決を優先していると、この問題に詳しい2人の人物がCoinDeskに語った。

インド準備銀行(RBI)は3月に、7月までに50万人のユーザーを目指すと公言していたが、内々ではその2倍を達成することを目指しているという。

「インドの人口を考えると、100万人というマイルストーンには簡単に到達できるだろう」とある関係者は述べ、100万人達成までの暫定的なスケジュールは3カ月だと付け加えた。

RBIは、リテールとホールセールの2つのCBDCのパイロット版を運用している。リテールCBDCのパイロット版は、少なくとも15都市で稼働しており、13以上の銀行が参加している。これは2022年12月1日に開始され、その後4カ月で10万人以上の顧客が参加した。

RBIのシャクティカンタ・ダス(Shaktikanta Das)総裁は4月6日の会見で、最近インドのベンガルールで開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でインドのデジタルルピーは大きな関心を集めたと述べた。「実際、国際金融セクターの著名な人物が、我々のCBDCの設計を認めるまでになり、このCBDCに足りないのは紙幣の匂いだけだと付け加えたほどだ」。

RBIはハッカソンを行い、スケーラビリティの向上、1秒あたりのトランザクションの増加、オフライン取引を可能にするソリューションなど、リテールCBDCをめぐるいくつかの課題に対する解決策を探っていた。

「これはほとんどトリレンマだ。2つの目標は達成できても、3つ目は達成できない」と別の関係者は語っている。「何らかの技術革新によって、すぐにこの問題が解決されることを期待したい」。

オフラインでの取引を促進できるデジタル通貨システムは、インドのような新興国における金融包摂を改善する方法だと考えられている。

RBIは、ウェアラブル端末、デビットカードやクレジットカード、ブルートゥース技術、スマートフォンなどを使ってテストを行い、オフライン取引を実現したいと考えている。そしてRBIが対処しようとしているもう一つの重要な懸念は、二重支出だ。

オフライン取引の問題を解決するために、3月24日の締切日に50以上の提案がRBIに提出されたと、ある関係者は述べている。

また、著名なブロックチェーン関連団体との提携は始まっていないものの、RBIはスケーラビリティを向上させるソリューションを検討するため、民間企業との交流を行っている。

RBIは、リテールCBDCを本格的に展開するスケジュールを発表していないが、以前は年内を目指すとの見解を示していた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:India Targeting One Million CBDC Users in Three Months, Prioritizing Offline Transfers: Sources