米ドル連動型ステーブルコインのテザー(USDT)は、2022年半ばのTerra(テラ)崩壊による混乱を乗り越え、人気を集めている。時価総額は上昇を続け、過去最高までわずかとなっている。
Coingeckoによると、USDTの時価総額は年初から20%以上増加して800億ドル(約10兆6000億円、1ドル132円換算)に達し、過去4週間だけで12%上昇した。過去最高は2022年5月に記録した830億ドル。
暗号資産サービスプロバイダーMatrixportのリサーチ・戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、USDTの時価総額はトロンネットワーク(Tron Network)での「積極的な発行」が牽引したと述べた。トロンは、中国本土での人気が高い。
Matrixportによると、トロン上で発行されたUSDTが現在の時価総額の半分以上を占めているという。
USDTの時価総額が増加している一方、No.2のドル連動型ステーブルコインであるUSDコイン(USDC)の時価総額は年初から27%減少して325億ドル。3月、発行元のサークル(Circle)が破綻したシリコンバレー銀行にUSDCの準備金のうち33億ドルを預けていたことを公表した後、投資家はUSDCを回避し始めた。
Matrixportによると、USDC保有者の一部は、USDTやビットコイン(BTC)に資産を分散させたという。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Matrixport Technologies
|原文:Stablecoin Tether’s Market Capitalization Nears Record High of $83B