ビットコイン、史上最高のESG投資か?【オピニオン】

伝統的金融(TradFi)についてある程度の知識がある人なら誰でも、ESG投資について知っているだろう。「環境・社会・ガバナンス」を意味するESGは、社会的意識の高い投資家が投資判断の際に使う基準のことだ。一般的にESG投資を行う人は、リターンと同じくらい、自分の投資が世界にプラスの影響を与えることに心を砕いている。

ビットコイン(BTC)は史上最高のESG投資となるかもしれない。投資家にとって莫大なリターンを生み出したからだ(当記事執筆時点、BTCは年初から71%上昇、ここ3年では342%上昇、ここ10年では驚異的な4万4404%上昇)。それだけでなく、国際的に大きなプラスの影響を与えている。

ビットコイン増、化石燃料減

ビットコインはアメリカでも世界でも、主なエネルギー源として石炭を使っていない数少ない分野のようだ。先日発表されたレポートによれば、BTCマイニングの大半が主に電力網に依存しない動力源を使っており、ビットコインネットワークの52.2%はゼロエミッション(CO2を排出しない)エネルギーによって稼働している。

ゼロエミッションエネルギーを90〜100%使うマイニング企業は少なくとも29社。さらにネガティブエミッション(大気からCO2を回収できる)動力源を使う企業は12社。

対称的にアメリカの主要電力網の場合、ゼロエミッションの動力源を使用しているのはわずか36.7%。つまり、アメリカのほぼすべての業界は化石燃料に約3分の2依存した電力網を使っていることになる。

ビットコインはさらに、電力供給にとっても有益だ。ビットコインマイニングは電力を一貫して購入し、余剰エネルギーを吸収することで、電気供給網を安定させ、電力発電所の効率性改善、消費者にとってのエネルギー価格削減に貢献している。

ビットコインマイニングのエネルギーソース(batcoinz.com)

エネルギー効率の向上

主にクリーンエネルギーを使用していることに加えて、ビットコインネットワークはこれまでのところ、伝統的金融システムに比べてはるかにエネルギー効率が高い。ビットコインマイニングの世界的エネルギー使用に占める割合は0.2%未満。世界の二酸化炭素排出量に占める割合はわずか0.09%。

価値の保存手段としてゴールドと比べられることの多いビットコインは、マイニングに使うエネルギーはゴールドよりはるかに少なく、ゴールドの採掘によって引き起こされる重金属汚染の心配もない。ビットコインでゴールドや伝統的金融システムをリプレースすれば、環境への影響は大幅にプラスとなる。

業界別CO2排出量(CoinShares)

イノベーションにインセンティブを

ビットコインの環境への影響の中でも最大のものは、クリーンエネルギーのイノベーションと普及にインセンティブを与える点だろう。

メタンは二酸化炭素よりも環境に25倍も悪影響を及ぼし、Climate and Clean Air Coalition(CCAC:気候と大気浄化の国際パートナーシップ)によれば「メタンの削減は、この先25年間で気候変動を減速させるために私たちが使える最も強力な手段」だ。メタン排出量のトップ2は、油田とごみの埋立地。ビットコインマイニングはこうした場所でのメタン排出削減を実現している。

ビットコインマイニング企業のVespeneは、埋立地から排出されるメタンを電力に変え、環境に優しい形でビットコインマイニングに活用する方法を開発し、大気中に排出されるメタンを削減している。

さらにメタンを使ったビットコインマイニングは、二酸化炭素排出量の削減において、他のどの再生可能エネルギーよりも効果的な方法だ。排出されたメタンを使ってビットコインマイニングを行えば、石炭を使った場合の二酸化排出量の13倍の量の二酸化炭素を環境から排除できる。

数年後には、ビットコインネットワークに使われる電力を作るために排出される二酸化炭素よりも、ビットコインマイニングが大気中に排出されることを防ぐ二酸化炭素の量の方が多くなるかもしれない。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Could Bitcoin Be the Greatest ESG Investment of All Time?