ビットコイン(BTC)は、テクノロジー株の低迷と債券利回りの上昇を背景に、このところ売り圧力を受けている。一部のアナリストは、暗号資産(仮想通貨)の次の動きに関する手掛かりとして、ビットコイン価格の主要な平均値に注目している。
米CoinDeskのデータによると、時価総額トップの暗号資産であるビットコインの価格は記事執筆時点で2万7400ドルで、4月14日につけた10カ月ぶりの高値の3万1000ドルから11%下落した。この下落により、ビットコインの50日単純移動平均線(SMA)が注目されている。それは現時点で2万7244ドルに位置している。
FxProのシニア・マーケットアナリストのアレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏によると、50日SMAのサポートを下回ると強気の市場心理に挑戦することになるという。
カプチケヴィッチ氏は電子メールで、「市場はこれまでの成長の勢いを消し去り、今は50日移動平均線という形で中期の上昇トレンドの強さを試している」と述べている。「これを下回れば強気相場に疑問符がつくだろうし、2万6600ドルを下回れば、より深刻な下落への序章になりかねない」。
50日SMAは、伝統的な市場と暗号資産の両方で最も広く追跡されているテクニカルラインの1つだ。暗号資産のアナリストは以前から、この重要な平均線を上回るか、下回るかで強気と弱気のトレンドの変化を確認してきた。
ビットコインは4月24日に50日SMAを突き抜けなかった。もしこれを下回ることがあれば、上図の週足チャートを見ると2022年8月から2023年2月にかけての上昇の上限になっていた2万5200ドルが次のサポートライン(支持線)になる可能性がある。
フェアリード・ストラテジーズ(Fairlead Strategies)の創業者兼マネージング・パートナー、ケイティ・ストックトン(Katie Stockton)氏によると、SMAのサポートラインは儚く、すぐに深い下落への道を開く可能性がある。
「ビットコインは50日SMAを試している。これは短期的な売られ過ぎによってビットコインが主要なサポートライン(2万5200ドル)に向かって下げを再開する前に、短い休止を発生させるだろう」と、ストックトン氏は24日遅くにクライアントへ送ったメモで述べている。
売られ過ぎの状態とは、特定の期間において、価格が顕著かつ一貫して下降し、あまり引き戻されない状態を指す。テクニカルアナリストは、相対強度指数やストキャスティクスなどの指標を用いて、さまざまな時間軸のチャート(日足、週足、時間足)で買われすぎ、売られすぎの状態を判断する。
とはいえ、50日SMAが引き続き堅調に推移すれば、より広範な強気見通しに合致した新たな上昇が再開される可能性がある。
「最近のブレイクアウト(3月に2万5200ドルを超えた動き)と週足MACD(マックディー:移動平均収束拡散)のプラスは、強気の中期バイアスを支持し、次の大きな抵抗線は3万5900ドル付近になるかもしれない」とストックトン氏は指摘した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/TradingView
|原文:Bitcoin’s 50-Day Moving Average in Focus for Crypto Analysts After 11% Price Pullback