ステーブルコインの準備金に多様性を求める──欧州銀行監督機構の議長が示唆

欧州銀行監督機構(EBA)の議長は、ステーブルコインを管理するために今後導入される欧州連合(EU)のルールは、発行者が多様な準備金を保有して利益相反を管理し、他のプレイヤーにリスクを伝播しないようにすることに焦点を当てると述べている。

欧州連合(EU)の暗号資産市場規制法(MiCA)は2024年に発効する予定だが、暗号資産(仮想通貨)市場のプレーヤーは今すぐ業務の調整を始めるべきだと、EBAのホセ・マヌエル・カンパ(José Manuel Campa)議長は述べた。同機関は関連法案の起草を通じて、その実施において重要な役割を果たすことになる。

MiCAは、ステーブルコインの発行者に、乱気流に対処するための十分な準備金を要求しており、「EBAは特に、準備金の多様性に注意を払う予定だ」と、カンパ氏はロビー団体のEurofiへの寄稿で書いている。

カンパ氏は、暗号資産エコシステム内でリスクが広がらないようにするために、ステーブルコインの発行者が利益相反を軽減し、カストディアンや取引プラットフォームとの接続をマッピングすることの重要性を強調した。

ウォレットプロバイダーと取引所を認可するこの法律はまだ正式に制定されていないが、「MiCAの輪郭はよく知られており、健全なリスク管理を確保するために、市場参加者は業務を調整し始めることを勧める」とカンパ氏は述べている。

昨年、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)の劇的な崩壊により、規制当局は、法定通貨やゴールドなどの他の資産と結びついた暗号資産をどのように管理するかに関心を向けている。

取引所FTXの11月の破綻と取引部門アラメダ・リサーチ(Alameda Research)との不透明な関係の発覚は、大規模でしばしば複雑な暗号資産コングロマリットがもたらすリスクについても注目を集めた。

「主要な暗号資産市場参加者の企業構造、ビジネスモデル、エクスポージャーは透明性がない」とマーティン・モロニー(Martin Moloney)氏はEurofiに記事を寄せている。モロニー氏は証券監督者国際機構(IOSCO)の事務局長で、同機構は年内に最終決定される暗号資産基準に関する協議内容をまもなく公表する予定だ。

リスクは「いわゆるトレーディングプラットフォームと呼ばれる3大プラットフォームへの明らかな市場集中によって悪化している」とモロニー氏は付け加えた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoin Reserves Need to Be Diverse, EU Bank Agency Chief Says