ビットコインの取引手数料、2年ぶりの高水準──BRC-20トークン人気が後押し

「Bitcoin Request for Comment」(BRC-20)規格のトークンとOrdinals Protocolの人気上昇によってブロック需要が高まり、ビットコインブロックチェーンの取引手数料は2年ぶりの高水準に上昇している。

ビットコインネットワークの平均取引手数料は、5月8日の欧州時間、20ドル弱で推移し、先週の1.20ドルから急上昇している。このような水準は、ビットコイン(BTC)の価格が6万ドルを記録した2021年5月以来。

Dune Analyticsのデータによると、ビットコインブロックチェーンに結びついたNFTは、主にテキストベースのものが急増し、先週300万を超えた。

インスクリプション(inscriptions)と呼ばれるビットコインNFTは、Ordinals Protocol上で機能する。Ordinalsはデジタルアートへの参照をビットコインベースの小さなトランザクションに記すことで、ユーザーがビットコインブロックチェーンにデータを埋め込むことを可能にしている。

BRC-20規格は、ユーザーがネットワークを通じて直接譲渡可能なトークンを発行することを可能にし、ビットコインブロックチェーン上に構築されたデジタルアートワークやミームトークンの人気に拍車をかけている。

BRC-20トークンのデータを追跡しているOrdSpaceによると、5月8日時点、ビットコインブロックチェーン上で発行された1万1000以上のトークンが公開市場で入手可能で、時価総額は16億ドル(約2163億3000万円)に達している。

ビットコイン上のBRC-20規格トークンは、価格が急落してもなお、多くの取引量を記録している。(Ordspace)

一方、一部のアナリストは急速なトランザクション増加を、ビットコインブロックチェーンの普及のサインと見ている。

「2019年のピーク時、ほとんどのビットコイントランザクションは、1000ドルから1万ドルのレンジに偏っていた」とETC Groupのリサーチ責任者トム・ロジャース(Tom Rodgers)氏は米CoinDeskへの電子メールで述べている。

「これは、ほとんどのビットコインユーザーがビットコインブロックチェーンをトレードに使っていたことを示している。これを今と比較してみる。ビットコイントランザクションが最も多いのは(35万9560件)、1ドル未満。これは、コールドウォレットに長期的に保有されるのではなく、ビットコインのベロシティ、つまりユーザーによって取引されるビットコインの量が大幅に増加したことを示している」とロジャーズ氏は付け加えた。

ビットコインの動きは活発だが、ネットワークの混雑はバイナンス(Binance)などの暗号資産(仮想通貨)取引所で一時的に問題を引き起こし、バイナンスは週末に2回、ビットコインの引き出しを停止した。

オンチェーンデータによると当記事執筆時点、未処理のビットコイン取引は41万5000件近くに達している。これは2018年と2021年の強気相場で見られた数を上回っている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Ordspace
|原文:Block Demand Leads to Fee Spike as Bitcoin-Based Memecoins Flourish