先週、米ドルが主要通貨バスケットに対して急騰し、ビットコイン(BTC)を含むリスク資産にプレッシャーをかけた。しかし、主要な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは主要なサポートラインを維持し、市場にとって明るい兆しとなった。
米ドルインデックス(DXY)は主要通貨に対するドルのパフォーマンスを示すもので、1.3%以上上昇し、2月以来の1週間での最大の上昇率を記録したことが、TradingViewのデータで示されている。
一方で、ビットコインは5.8%下落し、DXYと負の相関関係にあるという評判通りの結果となった。しかし、2月に上値を抑えたテクニカルラインとして広く知られている200週単純移動平均線(SMA)を下回ることはなかった。
FxProのシニア・マーケットアナリストのアレックス・カプチケヴィッチ(Alex Kuptsikevich)氏は「この重要な平均線を維持することで、強気派は長期的な強気トレンドの持続性を市場に確信させた」とEメールで述べている。
カプチケヴィッチ氏によると、価格の下落が終了したことを示すより強い証拠を求めて傍観していた慎重な買い手を呼び込むには、ビットコインが2万8500ドルを超える必要があるという。ビットコインは先月3万1000ドルを超える高値をつけた後、記事執筆時点では、この日1.4%上昇して2万7400ドル付近で取引されていた。
一部の観測筋は、ドルが上昇を続け、暗号資産の上昇を抑制すると予想している。
「先物曲線に暗示された金融緩和を市場が引き取ることで、ドルは反発する時期に来ていると思う。私の考えるFXの基本的な枠組みでは、通貨は長いサイクルでは実質成長率の差や政治的な配慮によって動くが、短期的には中央銀行の政策(名目金利の変化)に尽きる。ドルの上昇がどの程度激しくなるかによっては、コモディティや暗号資産などの資産に短期的なダメージを与える可能性がある」とMarex Solutionsのデジタル資産共同責任者のイーラン・ソロット(Ilan Solot)氏は電子メールで述べている。
Swissblock Insightsのアナリストは、5月12日の購読者向けメモの中で同様の意見を述べている。
「DXYが3月中旬以降、102を超えていることを考えると、104から107のどこかに達する可能性がある」とアナリストは述べ、TradFi(伝統的金融)との関係が強化されていることから、再度のドル高がビットコインに圧力をかけ続ける可能性があると付け加えた。
一方でSwissblock Technologiesによると、ドルの反発は、暗号資産にとって好都合な、より深い下落への道を開く可能性が高いという。
Swissblock Insightsは「この1カ月間の構造はいずれ崩れ、両資産は新たな価格を探す展開になる。つまり、ビットコインは上昇し、DXYは下降する」と述べている。
ソロット氏も、ビットコインの下落は短期間であり、投資家にとって「ポジションを取る絶好のエントリーポイント」になると予想している。
また、少なくとも6カ月以上ビットコインを保有しているウォレットは、最近の弱気な動きの中でコインを蓄積しており、ビットコインの長期的な見通しに対する自信をほのめかしている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Swissblock Technologies
|原文:Bitcoin Holds Above 200-Week Average as Dollar Index Rallies Most Since February