リップル、暗号資産カストディのメタコを買収──提供サービスの拡大を図る

ブロックチェーン企業のリップル(Ripple)は、スイスに拠点を置く暗号資産(仮想通貨)カストディ技術プロバイダーのメタコ(Metaco)を2億5000万ドル(約342億4000万円)で買収したと、5月17日の声明で発表した。

この買収により、リップルはトークン化された資産のカストディ、発行、決済を行う技術を取り入れることで、提供するサービスを拡大することができる。メタコの技術は、顧客に極めて重要で安全なカストディ・インフラを提供し、機関投資家が暗号資産経済における新しいビジネスモデルを拡大することを可能にする。

カストディ・ソリューションへの多角化は新たな収益機会をもたらすとリップルは述べており、今回の買収は、アメリカとその不透明な規制状況を超えてプレゼンスを拡大する戦略の一環であると付け加えている。

2020年、リップル社と一部の幹部は、約13億ドル(約1780億5800万円)相当のエックス・アール・ピー(XRP)の無登録販売に関して、アメリカ証券取引委員会(SEC)からの訴訟に直面した。

リップルCEOのブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏は最近、法廷闘争が同社に約2億ドル(約274億円)の負担をかけると推定し、同時に暗号資産の起業家がアメリカで事業を起こさないように警告している。また、リップルの訴訟の担当裁判官は5月16日に、SECの元企業ファイナンス部門ディレクター、ウィリアム・ヒンマン(William Hinman)氏が2018年に行った暗号資産と証券に関する講演資料の非公開措置を求めるSEC側の申し立てを却下した。

同社の広報担当者によると、買収資金は現金とリップル社の株式の組み合わせで賄われた。

ガーリングハウスCEOは「メタコは、機関投資家向け暗号資産カストディにおいて、卓越した経営陣と真に比類なき顧客実績を持つ、実績あるリーダー企業だ」と述べている。

リップルはメタコの単独株主となり、メタコは創業者兼CEOのアドリアン・トレカニ(Adrien Treccani)氏が率いる独立した事業部門として運営を継続する予定だ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Ripple Buys Crypto Custody Firm Metaco for $250M