“ぺぺコインクジラ”の動きを真似る投資家──ミームコインブームにはネガティブな影響も

ペペコイン(PEPE)がわずか数週間で、ゼロから20億ドル近い時価総額となり、あっという間に億万長者を生み出したことを受けて、投資家たちは次の一攫千金を狙って、ミームコインを物色している。

だが、そうした投資家たちは、ぺぺコインの衝撃的な上昇はきわめて稀であるという事実を無視している。ぺぺコインや柴犬コイン(SHIB)のように、基本的な価値をほとんど持たない、あるいはまったく価値がない暗号資産は、数年に一度、イーサリアムブロックチェーンから出現するが、次のぺぺコインを見つけることは不可能に近い。

ひと握りの勝者は、無数の敗者に囲まれている。CoinGeckoによると、ぺぺコインの時価総額は6億5000万ドルを割っている。

ぺぺコインの推移(dextools)

クジラの動きを真似る

だがそれでも挑戦する人はいる。なかには、初期のぺぺコイン投資家の動きを単純に真似する人もいる。オンチェーンデータを使えば、こうしたことは簡単。大量のトークンを保有するウォレットは、DeBankのようなサイトで追跡できる。

先週末、新たに発行されたいくつかのミームトークンが、取引数でぺぺコインを上回った。この活発な動きは、ホエールウォッチャー(大量の暗号資産を保有するウォレットの動きを見て資産を購入する人たち)によるものだった。

400万ドル以上のぺぺコインを保有するウォレットは、5月13日、「HARAM」というミームコインを購入した。HARAMの時価総額はその後4時間で20万ドルから500万ドルに急騰し、14日、過去24時間の取引高は2000万ドルに達した。

その他にも週末、RIBBIT、BOB、JEFF、WENといった奇妙な名前のミームトークンの取引高が急増した。Dune Analyticsによると、投資家がミームコインに殺到するなか、分散型取引所(DEX)ユニスワップ(Uniswap)の取引高は13日、1時間あたり1億5000万ドルを記録、通常の1600万ドル〜3000万ドルの水準から大きく増加した。

ネガティブな影響

一方で、ネガティブな影響も出ている。DeFiプロトコルの預かり資産(Total Value Locked:TVL)は過去30日で530億ドルから470億ドルまで低下。一部は市場の下落によるものと考えられるが、5億ドルの資金流出があったAgility LSDなどからの流出は、投資家の関心が薄れていることを示しているだろう。

一部のミームコインには詐欺の疑いもある。毎日、数百のミームコインが登場し、DEXToolの「live new pairs」を見たところ、トークン発行者が投資家にトークンを売りつけた後、コードを変更して売却できなくするなど、ラグプル(持ち逃げ詐欺)の傾向が強まっているようだ。

一部の投資家は莫大なリターンを得られるかもしれないが、その確率はきわめて小さい。大きな視点で見ると、ミームコイン人気は市場から流動性を吸い上げるブラックホールを作り出し、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとする他の暗号資産にとって潜在的な障害となりかねない。

今年に入って印象的なスタートを切ったビットコインとイーサリアムは「S**tcoin Spring」と呼ばれるなか、それぞれ3万ドル、2000ドルの堅いレジスタンスにぶつかっている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:dextools
|原文:Investors Track Pepecoin Whales to Cash In on Meme Coin Mania as Wider Market Stagnates