分散型台帳技術(distributed ledger technology:DLT)を証券市場で利用することで、年間1000億ドル(13兆5000億円)以上のコストを削減できる──。伝統的金融業界の代表的なロビー団体、グローバル・ファイナンシャル・マーケッツ・アソシエーション(Global Financial Markets Association:GFMA)は5月16日に発表したレポートにそう記した。
GFMAは、暗号資産を支える分散型台帳技術、いわゆるブロックチェーンを担保管理、資産のトークン化、国債などのソブリン債市場に活用することを規制当局に求めている。GFMAには、JPモルガン・チェース、HSBC、野村證券など、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを代表する大手金融機関が加盟している。
「分散型台帳技術は、成長とイノベーションを推進する可能性を秘めている」とGFMAのアダム・ファーカス(Adam Farkas)のCEOは述べた。
さらに「この可能性を、規制の監視やレジリエンスの方法がすでに存在するところで、無視したり、禁止すべきではない」と続き、DLTベースの市場連携について足並みを揃えた国際的フレームワークを求めた。
また、スマートコントラクトを利用して、株式分割や合併などの決済などのプロセスを自動化すれば、150億ドル~200億ドルのコスト削減が期待できるとしている。
レポートは、従来の金融関係者から分散型台帳技術(DLT)、いわゆるブロックチェーンの利用に対する熱意が高まっていることを反映している。
ブリュッセルに拠点を置く清算・決済に特化したユーロクリア(Euroclear)は、DLTをベースにした債券取引のための新しいプラットフォームをまもなくリリースする予定。欧州中央銀行(ECB)は、金融決済システムを分散型テクノロジーと効果的に連携させる方法を検討している。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Lorenzo Cafaro/Pixabay
|原文:DLT-Powered Financial Markets Could Save $100B Per Year, TradFi Study Says