Bitcoin Pizza Day、おめでとう!
2010年5月22日、ラズロ・ハニエツ(Laszlo Hanyecz)は1万ビットコイン(BTC)をジェレミー・スターディヴァント(Jeremy Sturdivant)に支払い、自宅に配達された2枚のパパ・ジョンズ・ピザ(Papa John’s Pizza)を受け取った。
この取引は、ビットコインを使った初めての商取引と考えられ、5月22日は「Bitcoin Pizza Day」とされている。
同時に、最も愚かで、最も不誠実なビットコインの捉え方にもつながっている。すなわち、「バカな男だ。そのまま持っていれば、2億7000万ドル以上なのに! ピザを2枚買っただけだ」と。
本当にそうだろうか?
今でこそ1万ビットコインは大金だが、2010年当時はそうではなかった。実際、2010年の1万ビットコインは、ピザ2枚くらいを買える程度だった。
ビットコインは、使われなければ価値がない。だからこそ「Bitcoin Pizza Day」は大きな意味がある。
例えば、4人の共同創業者がいるテクノロジー企業が、最初の従業員を雇ったと考えてみよう。その社員には5万ドルの給与が支払われ、勤続1年目には株式の1%が付与される。
仮に、その企業は話題のソーシャルメディア企業で、8年後に1000億ドルの評価額で株式を公開したとする。従業員第1号は大金持ちになったが、このソーシャルメディア企業は、最初の従業員に1年間の労働に対して10億ドルを支払ったことになるのだろうか?
もちろん、そうではない。5万ドルの現金と、当時は無価値だった企業の1%を渡した。同じように、ハニエツは2枚のピザに2億7000万ドルを支払ったのではなく、2010年に2枚のピザに1万ビットコインを支払った。
多くの名前も知らない企業と同じように、ビットコインは大失敗したかもしれない。「Bitcoin Pizza Day」がなければ、ビットコインの生みの親サトシ・ナカモトがピア・ツー・ピアのデジタルキャッシュと呼んだビットコインを価値交換の手段として使おうとする人は現れなかったかもしれない。つまり、ビットコインは今でも価値のない、一部のマニアのためのインターネットマネーとして、そのコンセプトだけでやり取りされているかもしれない。
だからこそ、「Bitcoin Pizza Day」を誕生させたラズロ・ハニエツとジェレミー・スターディヴァントに感謝する。2人がビットコインエコノミーをスタートさせた。
2人の取引によって、ビットコインがマネーとしての真の価値を持つための基盤の一部が確立されたのであり、すべてのビットコイナーが感謝すべきなのだ。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ラズロ・ハニエツが実際に受け取った2枚のピザ(Laszlo Hanyecz)
|原文:Celebrating Bitcoin Pizza Day: the Time a Bitcoin User Bought 2 Pizzas for 10,000 BTC