ビットコイン(BTC)は5月25日以降、いくらか落ち着きを取り戻したが、12月以来の月間損失を記録しそうだ。
時価総額でトップの暗号資産(仮想通貨)は、記事執筆時点で2万7800ドル付近で取引されており、先週記録した約2万5900ドルの安値から7.5%回復した。しかし、月間では約5%下落し、この損失が31日のUTCクローズまで維持されると仮定した場合、今年最初の月間でのマイナスになる。ビットコインは1月、3月、4月にプラスで推移し、2月は横ばいで終わっている。
米CoinDeskのデータによると、ビットコインはイーサリアム(ETH)に対して、月間で7%近いマイナスになる。
ビットコインの月次成績が低迷しているのは、債券トレーダーが、粘り強いインフレと回復力のある労働市場に対応して、連邦準備制度理事会(FRB)が金利上昇を維持するとの賭けを復活させたためだ。以前、金利トレーダーは、基準となる借入コストであるFF金利が、現在の5%から2023年末までに4.5%以下まで低下すると予想していた。しかし、市場はもはやFRBが今年中に利下げを実施するとは考えていない。
FRBのタカ派的な賭けが再燃したことで、今月は米ドルが上昇し、ユーロを含む法定通貨のバスケットに対してドルが2.7%上昇した。ビットコインはドルとは逆の方向に動く傾向がある。
昨年初めから、資本は暗号資産市場を離れている。この傾向は今月も続いており、ステーブルコインの時価総額は20カ月ぶりの低水準となる1300億ドル(約18兆2300億円)にまで縮小している。ステーブルコインは、価値が米ドルのような別の資産に固定された暗号資産で、過去3年間、他の暗号資産の購入資金として広く利用されてきた。
「インフレ率の低下という流動性の波は今や一巡し、市場は価格をより高く持ち上げるための新しいドライバーとテーマを必要としていると考えることができる」と暗号資産サービスプロバイダーMatrixportのリサーチ・戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は述べた。「ハイテクセクターはBTCと相関する傾向があるが、前者はAIとChat GPT革命で新しい生命を発見しており、BTCにはまだ恩恵がない」。
ビットコインは、今月8%近く上昇したウォール街のハイテク指数のナスダックから乖離している。
暗号資産運用会社Blofinのボラティリティ・トレーダー、グリフィン・アーダーン(Griffin Ardern)氏は、高金利環境の継続がビットコインの強気派に対する勝算を維持すると述べた。
「高金利環境では、マネーマーケットファンドのようなノーリスクのハイリターンが投資家にとってより魅力的であり、暗号資産市場の流動性の欠如が続くことを意味する」とアーダーン氏は言う。
クオンツ主導の取引会社TDX Strategiesの創設者兼CEOのディック・ロー(Dick Lo)氏は、「28日にビットコインが4%上昇したのは、アメリカの指導者が債務上限を解除するための暫定合意を発表したことによって引き起こされた救済ラリーで、さらなる上昇は難しいかもしれない」と述べた。
「28日の夜と29日の朝に見られた反発は、アメリカの債務上限引き上げ合意を受けた安堵感によるものだった。市場は、6月のFOMCでさらに0.25%の利上げが行われる可能性に焦点を戻すだろう。また、財務省がキャッシュポジションを補充するために短期的に少なくとも5000億ドルの手形を売却する必要があることから、流動性が枯渇する可能性がリスク資産の重しになるだろう」とロー氏は述べている。
BTCは2万8500ドルに強い抵抗線があり、この先は2万7350ドルが最初の支持線となり、その後、2万6200ドルを試す展開になる可能性があると見ている」とロー氏は付け加えた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin Headed for First Monthly Loss in Six Months