ビットコインのマイニング難易度、過去最高を更新する勢い

ビットコインのマイニング難易度は、5月31日(米東部時間)にも50兆を超えて過去最高を更新し、さらに上昇する可能性がある。

年初からのビットコイン価格の上昇とOrdinals、いわゆるビットコインNFT人気によって、マイナー(マイニング事業者)の収益性は向上し、マイナーは多くのマイニングマシンの継続的な導入を進めている。結果的に、より多くの演算能力がもたらされ、記録的なマイニング難易度につながっている。

ビットコインのマイニング難易度は、1ブロックのマイニングにかかる時間を約10分前後に保つために自動的に調整される。

マイニングサービス企業Luxor TechnologiesのCOO(最高執行責任者)イーサン・ベラ(Ethan Vera)氏は「新世代のマシンは、ラックスペースが確保されるにつれて、より稼働していくだろう」と語った。

一方、Ordinalsプロトコルが人気を集めていることで、ビットコインブロックチェーンの取引手数料は通常の約3倍にまで上昇、マイナーの収益を後押ししているとベラ氏は指摘した。

Ordinalsは、ビットコインブロックチェーン上で、NFTなどのトークンの発行を可能にした。その結果、取引件数が増え、取引手数料が高騰している。

CoinDesk/Sage D. Young

マイニング難易度の上昇は、マイナーにとっては収益性の低下を意味する。大手マイナーのマラソン・デジタル(Marathon Digital)は、4月に難易度が上昇したため、月間のビットコインマイニング数が前月比で減少したと指摘。同様にカナダのマイナー、ビットファームズ(Bitfarms)は2022年第4四半期、難易度の上昇によって赤字となった。

しかし、難易度の伸びを鈍らせる可能性がある複数の要因も存在する。

Greenidge Generationの財務担当者ティム・レイニー(Tim Rainey)氏によると、ビットコイン価格のポジティブな値動きの欠如や利用可能なインフラの制約が、そうした要因となり得るという。

また、Foundryのビジネス開発シニア・マネージャーのチャールズ・チョン(Charles Chong)氏は、次のビットコイン半減期をめぐる不確実性も難易度の上昇を鈍らせる可能性があると述べた。

一方、1つの地域に演算能力が集中していることも、難易度上昇に影響を与える可能性がある。

Luxor Technologiesのコンテンツ・リサーチ責任者コリン・ハーパー(Colin Harper)氏は「北米に演算能力が集中していることで、新たな季節的傾向が見られるようになった」と語った。以前は、中国が雨季を迎えると、水力発電による安価な電力が手に入りやすくなり、演算能力が増加していた。

だが今では、夏の熱波がアメリカを襲うと、マイナーは冷却に必要なエネルギーを節約するためにマイニングマシンの稼働を止める状況が生まれている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk/Sage D. Young
|原文:Bitcoin Mining Difficulty’s Record Setting Streak Shows No Signs of Stopping