ボラティリティは最低水準、ドル指数は上昇、この先の行方は?【コラム】

2023年も半分に近づこうとしている今、株式と暗号資産の双方にとって、2023年を特徴づけることは難しい。国内外を問わず、マクロ経済環境についての議論は続いており、アナリストは次の大きな動きについて頭を悩ませている。

3月、アメリカの銀行危機について書いた時は、暗号資産は安全資産として、そして金融崩壊に対するヘッジとして年初来高値を更新していた。だがその後、ほぼすべてのニュースは重要ではないとして肩透かしを食らっている。

銀行の不安定さ、ロシアとウクライナの戦争、5月の0.25%の利上げ、迫り来る世界的な景気後退、米債務上限問題(合意したが)を前に、暗号資産(および株式)は通常、投資家が反応するような従来のストーリーにはまったく興味を示していないようだ。

取引面では、リアライズド・ボラティリティとインプライド・ボラティリティの両方が史上最低水準に達している。ビットコイン(BTC)の過去2週間のレンジは6.3%に縮小して30日リアライズド・ボラティリティは42.1、イーサリアム(ETH)は7.1%のレンジにとどまり、30日リアライズド・ボラティリティは41.9となっている。

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ボラティリティが下がり続けていることからメリットを得るために、トレーダーは現在の状況が続くことに賭けている。ジェーン・ストリート(Jane Street)やジャンプ・キャピタル(Jump Capital)などの大手マーケットメーカーが暗号資産取引から手を引いていると報じられていることを考えると、トレーダーは正しいのかもしれない。

米ドル指数上昇

しかし、本当にそのようなシンプルなことでいいのだろうか? 「5月にボラティリティを売って、去っていく」のか?、それともトレーダーは、ビットコインやイーサリアムを最近のレンジから押し出す可能性のあるサインを無視しているのだろうか?

6月1日の債務上限の期限は、ボラティリティをもたらすイベントとして浮上した。債務不履行が発生すれば、世界中の市場に衝撃が走るからだ。

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この不確実性を受けて、債券市場はリスクを織り込んでおり、5月、2年債と30年債の利回りが急上昇した。また、米ドル指数(DXY)は101.0レベルからダブルボトムの強い上昇を開始した。

一般的にこの水準より上を維持することは、ビットコインにとって良いことではない。上手を見れば、ビットコインとDXYが逆相関になっていることがわかる。

言うまでもないが、ビットコインとイーサリアムのボラティリティが最近落ち着いていることで、市場参加者を誤った安心感に陥れてはならない。

マクロ経済の変化の風が吹き続け、過小評価されているストーリーが動き始めると、ボラティリティは急激に回復するかもしれない。例えば、もし金利引き上げについて「より長く、より高く」というストーリーが続くとしたら、米ドル指数は101を超えて根強く推移し、暗号資産に継続的な圧力がかかることが予想される。

ネイサン・コックス(Nathan Cox)氏:デジタル資産投資会社Two Primeの最高投資責任者。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TradingView
|原文:Sell Crypto Volatility in May, and Go Away?