欧州議会の議員から依頼を受けて5月30日に発表された報告書では、暗号資産(仮想通貨)は基本的に証券として扱われるべきであり、分散型金融(DeFi)を管理する自治組織には法的地位を与えるべきだとしている。
この報告書は、欧州連合(EU)が暗号資産市場規制(MiCA)を最終決定し、DeFi、ステーキング、NFT(非代替性トークン)などのその他の分野をカバーする追加法案が必要になるかどうかを検討している時に発表された。
報告書によると、すべての暗号資産は譲渡可能な証券とみなされるべきで、つまり、各国の規制当局が別段の指示を出さない限り、従来の株式や債券に適用されるEUの厳しいガバナンスと認可のルールに該当することを意味する。
欧州議会の経済金融委員会(ECON)の依頼を受け、ルクセンブルク、シドニー、香港の大学の学識経験者からなるパネルが作成したこの報告書によると、この基本的な認識は「技術的事実を収集し、規制範囲を議論する責任を規制当局から業界に移管する」ものだという。
1万もの暗号資産プロトコルが可能な限り軽い規制を求めて競い合う「不透明な国境を抱えた状況において、そのルールを施行することの難しさ」を考えると、何らかの変更がなければ、「MiCAによって短期的にプラスの効果が得られるかどうかは疑わしい」と、欧州議会の公式見解ではないものの、この調査報告書には書かれている。
暗号資産業界は、伝統的な金融の証券向けに設計された規則が暗号資産に適用されるかどうかが明確でないことに悩まされてきた。アメリカでは、証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長が、イーサリアム(ETH)などの主要な暗号資産が管轄下の証券に該当するかどうかについて言及を避けているが、リップル社などに法的措置による規制を行っていることに対して非難の声が上がっている。
5月31日にMiCAが法律として署名されたことで、銀行や証券市場を担当するEUの機関は、今後、MiCAを発効させるための詳細なルールの設定を行う必要がある。それ以前にも、金融安定化リスクの監視を担当するEUの委員会である欧州システミックリスク理事会(ESRB)は、MiCAに該当しないものを規制するために新たな法律を制定するように求めている。
イギリスの専門家は、分散型自律組織(DAO)の法的地位についても研究しており、報告書が「詐欺師と泥棒」の「ワイルドウエスト」だとするこの分野の規制の先駆けになる可能性がある。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Treat Crypto as Securities by Default, European Parliament Study Says