クラーケン、カナダの顧客資金が25%増──バイナンス等の撤退表明で

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)は、バイナンス(Binance)やOKXといったライバル企業が撤退を発表した後、カナダに留まることで利益を得ている。

クラーケンの同国での顧客資金は、5月上旬にバイナンスが撤退を発表した後の数週間で25%増加した。また、OKXが3月に撤退を予定していると発表してから1週間で、カナダの顧客向けの2つのモバイルアプリのダウンロードが5倍に増加した。クラーケンの担当者は、このデータを電子メールで米CoinDeskに提供した。

カナダは今年初め、暗号資産取引に関する規制の枠組みを強化し、その結果、大手取引所のいくつかが撤退した。取引量で最大の取引所であるバイナンスとOKXだけでなく、パクソス(Paxos)とBlockchain.com、デリビット(Deribit)といった暗号資産企業も撤退を発表した。最も最近の撤退は、今週初めのBybitだった。

クラーケンと同様に、ナスダック上場の取引所コインベース(Coinbase)は、カナダの強化された事前登録制度(PRU)にコミットできることを喜んでいると述べた。同社は、アメリカの明確性の欠如と比較すると、規制当局と協力するのは大好きだとまで言っている。

クラーケンは10年以上前からカナダに進出し、現地に250人以上のスタッフを抱え、2019年から同国でマネーサービス事業を展開していると、同社のカナダ担当マネージングディレクター、マーク・グリーンバーグ(Mark Greenberg)氏は述べている。

「カナダの規制強化は我々にとっていいことだと思う」とグリーンバーグ氏は米CoinDeskとのインタビューで語った。「例えば、顧客資産のセキュリティに重点を置くのは、我々がずっとやってきたことだ。一方で、取引や証拠金に関する制限など、あまり好ましくないものもある」。

今年初めにカナダ証券管理局(CSA)が発表した暗号資産取引所に対する厳しい新規定は、企業が顧客資産の大部分を第三者のカストディアンに預けることを要求するものだ。

「我々はコミットメントの一部として、第三者のカストディアンを使用することを約束してきたが、今後も規制当局とそれについての議論を続けると思う」とグリーンバーグ氏は述べている。「これは賛否両論がある問題であり、規制当局もこの問題に関する賛否と選択肢を認識していると思う。結局のところ、我々にとって最も重要なのは、顧客の資産が安全で、ラグプル(出口詐欺)や他の犯罪に巻き込まれないことだ」。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto Exchange Kraken’s Canada Customer Deposits Rose 25% After Binance Announced Departure