SEC、コインベースを提訴──前日のバイナンスに続き

米証券取引委員会(SEC)は、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)を連邦証券法違反の疑いで提訴した。前日にはバイナンス(Binance)を同様に提訴している。

SECによると、コインベースは未登録でブローカー、取引所、清算機関を運営し、顧客の勧誘、注文の処理、入札の許可、仲介を行っていたという。訴状は、コインベースとコインベース・グローバル(Coinbase Global)を被告としたが、創業者兼CEOのブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏や他の幹部の名前はなかった。

「コインベース・プラットフォームは、従来の証券市場では一般的に分離されている3つの機能──ブローカー、取引所、清算機関を統合している。しかし、コインベースはブローカー、証券取引所、清算機関としてSECに登録したことがなく、議会が証券市場のために確立した開示体制を回避している」(SEC)

6月6日、SECのゲンスラー委員長は、これらの異なる機能が 「混同されている」とプレスリリースで述べた。

「コインベースの容疑は、詐欺や市場操作を防止するルール、適切な開示、利益相反に対する保護措置、SECによる定期的な検査など、重要な保護を投資家から奪っている」(ゲンスラー委員長)

暗号資産に特化した法案

一方、火曜日に下院農業委員会で証言するコインベースの最高法務責任者ポール・グレワル(Paul Grewal)氏は、暗号資産に特化した法案の作成を声明で呼びかけた。

「デジタル資産業界に対する明確なルールがない中で、SECが執行措置のみのアプローチに頼っていることは、アメリカの経済競争力と、コインベースのようにコンプライアンスへの取り組みを実証している企業を傷つけている。解決策は訴訟ではなく、公正なルールが透明性をもって策定され、平等に適用されるような法律。その間、私たちは通常通りビジネスを続けていく」(グレワル氏の声明)

SECは、コインベースが連邦証券法に違反している部分として、Prime、Wallet、stakingの各プロダクトと、実際に上場している暗号資産を指摘した。

具体的には、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、サンドボックス(SAND)、ファイルコイン(FIL)、アクシー・インフィニティ(AXS)、チリーズ(CHZ)、フロー(FLOW)、インターネット・コンピューター(ICP)、ニア(NEAR)、ボイジャー(VGX)、ダッシュ(DASH)、ネクソ(NEXO)などを証券として特定した。

SECは今年初め、コインベースを提訴する可能性があるとしてウェルス通知(Wells Notice)を送っており、コインベースは4月、通知に回答している。

6日の訴状でSECは、コインベースが4つの異なるカウントを登録しなかったことで取引所法に違反し、さらに証券法にも違反したと述べ、同社が継続的な違反を「永久に差し止める」ことと、不正に得た利益の返還および民事上の罰金を求めている。

バイナンスの訴状とは異なり、コインベースが顧客資金を混同したり、同社幹部がそうした資金を他の事業体に移すことを許可したとは述べていない。

暗号資産市場とコインベースの株価(プレマーケット)は、このニュースを受けて下落している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:コインベースのブライアン・アームストロングCEO(CoinDesk)
|原文:SEC Sues Coinbase on Unregistered Securities Exchange Allegations