ビットコイン、2万7000ドルを回復──SECによるバイナンス、コインベース提訴はビットコインにプラス?

暗号資産(仮想通貨)価格は6日、米証券取引委員会(SEC)が前日にバイナンス(Binance)を提訴したことを受けて大幅に下落し、さらにバイナンスに続いて、コインベース(Coinbase)を提訴したにもかかわらず、ビットコイン(BTC)を筆頭に回復した。

ビットコインは当記事執筆時点、2万7000ドルを回復し、24時間で6%近く上昇。前日5日は、2万5400ドル付近まで下落していた。SECがバイナンスを連邦証券法に違反したと訴えたことで、数カ月にわたる市場の低迷で、すでに臆病になっていた投資家が売りに走ったためだ。

他の暗号資産も、ビットコインよりはやや小幅だが回復を見せた。イーサリアム(ETH)は1900ドルをわずかに下回る水準で取引されており、24時間で約4.5%上昇している。カルダノ(ADA)とソラナ(SOL)は、前日に8%以上、10%以上急落したが、1%以上上昇。バイナンスコイン(BNB)もわずかにプラスになっている。ポリゴン(MATIC)は1%下落。SECはバイナンスとコインベースの提訴で、複数のアルトコインを未登録証券と指摘した。

市場全体の動きを追跡するCoindesk Market Index(CMI)は4.5%上昇した。

ビットコインにはプラスか

今回の2件の提訴で注目すべきは、SECがビットコインとイーサリアムに言及していないこと、つまり、SECが2つの資産を証券と見なしておらず、コモディティと商品と見なしていることが投資家にとって安心材料となっていることだ。

CoinDesk

暗号資産リサーチ会社K33 Researchのシニアアナリストであるベトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は6日のマーケットレポートで、バイナンス提訴後のビットコインの急落を過剰反応と呼んだ。

「ビットコインはコモディティとして分類されている。アメリカ人は数多くの取引所、上場ファンド(ETF)、決済アプリなどを通してビットコインを購入できる。流動性はコインベースとクラーケン(Kraken)にさらに集約される可能性があるが、こうした動きで市場が5%暴落することはないはずだ¥

また、別のマーケットレポートでは、取引プラットフォームOandaのシニアマーケットアナリストのエドワード・モヤ(Edward Moya)氏が、アルトコインに対するSECの取り締まりはビットコインに利益をもたらす可能性さえあると書いている。

「ビットコインは今、最も興味深い取引になりつつある。多くの投資家は、ほとんどのアルトコインに見切りをつけ、暗号資産が誕生して以来、最もうまくいっているものにこだわるようになるかもしれない」とモヤ氏。

「SECがソラナ、ポリゴン、カルダノ、バイナンスコインを証券と呼んだことで、一部のトレーダーは、主要取引所でそれらのポジションを放棄し、ポジションをコールドウォレットに切り替えるか、あるいは単にポジションをクローズしてビットコインのポジションを再開するかもしれない」

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Rallies Above $27K as Crypto Market Shrugs Off SEC Lawsuits Against Binance, Coinbase