バイナンスとコインベースの提訴のなかで、米証券取引委員会(SEC)が未登録証券と見なした多くの主要暗号資産(仮想通貨)は6月7日に急落、アルトコインの下落を主導した。一方、トレーダーがビットコインを比較的安全と考えているようだ。
CoinDeskのデータによると、バイナンス・スマート・チェーン(Binance Smart Chain)のネイティブトークン、バイナンスコイン(BNB)は24時間で8%下落し、1月初旬以来の最安値252ドルとなった。カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、ソラナ(SOL)など時価総額トップ10の暗号資産も6%〜8%下落した。
ビットコイン(BTC)はそれらを上回るパフォーマンスを見せ、0.9%下落して2万6500ドル付近。過去1週間の大半で2万5000ドル~2万7000ドルのレンジで推移している。
イーサリアム(ETH)は1850ドル付近、24時間で1.3%下落し、暗号資産市場全体とほぼ同じパフォーマンスとなった。CoinDesk Market Index(CMI)は1.1%下落。
未登録証券
SECが5日と6日に提出した訴状には13のアルトコインが含まれ、これらの暗号資産には重荷となり、アメリカの投資家が取引を控える可能性があった。
「アルトコインはプレッシャーを受けている。主要取引所におけるそれらの暗号資産の提供をほぼ不可能にしたいと考えていることをSECは明確にした」とオアンダ(Oanda)のシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は語る。
「セキュリティであるとのSECの判断で、トレーダーはバイナンスコイン、カルダノ、ポリゴン、ソラナを手放し、ビットコインに資金を移動しているトレーダーもいる」
これらの暗号資産は、特にSECがステーキングを制限する動きを見せた場合、さらに下落するかもしれないと機関投資家向けブローカーのエニグマ証券(nigma Securities)はマーケットレポートで述べている。
「特にカルダノは大きな打撃を受けるだろう。過去4~5年の成長はユーザーのステーキングに大きくけん引された」とエニグマのリサーチ責任者ジョー・エドワーズ(Joe Edwards)氏は記した。
さらなる金融引き締め
各国の中央銀行がさらなる流動性の引き締めを示唆しているため、世界的に債券利回りが急上昇していることも暗号資産市場の重荷になっているとオアンダのモヤ氏は指摘した。
カナダ銀行は4カ月の休止の後、7日に再び0.25%の利上げを行い、量的引き締め政策を継続させた。オーストラリア準備銀行も6日、0.25%の利上げを行い、金利を11年ぶりの高水準に引き上げた。さらなる引き上げも予想されている。
米国債10年は11ベーシスポイント上昇し、投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)はより長く金利を維持すると考えていることを示した。
「ウォール街は、カナダ銀行やオーストラリア準備銀行が今週示したように、FRBはさらなる引き締めを実施することになるかもしれないと恐れているようだ」とモヤ氏は付け加えた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:BNBの1週間の価格推移(CoinDesk)
|原文:BNB Drops to 6-Month Low as ADA, MATIC, SOL Lead Altcoin Tumble