・ビットコインは、直近の小幅な推移から抜け出して下落に転じ、9,000ドル(約95万円)を維持する分かれ目を迎え、今年1月、7月で苦しんだのと同様、8月の幕引きはマイナスと総括できよう。
・8月31日、土曜日(現地時間、UTC)の終値が試金石で、月足チャートで弱気相場再来の確証となる9,049ドル(約96万円)を下回ると、ビットコインが今後数ヶ月で、200日移動平均が7,400ドル(約78万円)程となる、さらなる価格下落の可能性が心配される(編集者注:実際は下回らなかった)。
・1時間足チャートの指標で見れば強気相場の様相を呈すため、8月22日(現地時間)の安値である9,755ドル(約103万円)までの僅かな下落が、9,000ドル(約95万5000円)への下落の前に起きる可能性がある。
・(現地時間8月28日の高値である)10,280ドル(約109万円)を超えた時点で、短期的な弱気相場は解消するだろうと判断。今月上旬に話題にしたように、8月の終値が12,000ドル(約127万円)以上であれば、強気相場の復活と思料(編集者注:実際は上回らなかった) 。
ビットスタンプ(Bitstamp)のデータによると、市場価値で仮想通貨の首位に立つビットコイン(BTC)は、8月1日の始値である10,096ドル(約107万円)から緩やかに値を下げ続け、月初と比べて値を下げた月は今年で3度目となる。以下のチャートの通り、BTCは1月にも7.59%、7月にも6.27%、それぞれ値を下げている。
ビットコインの価格推移(2017年3月~2019年8月)
・2017年8月以来で最長の5か月連続上昇は7月で途絶えることとなった。
・1月の7.59%の下落まで、6か月連続で下げ続け、歴代最長の下落となった。
過去にBTCは、わずか数分間の間に1,000ドル(約10万円)以上もの激しい値動きを見せたことがある。例を挙げると、7月18日(現地時間)に米市場の取引時間内で30分間に9,300ドル(約98万円)から10,400ドル(約110万円)へ値上がりした。
そのため、BTCが10,096ドル(約107万円)を超す可能性も否定できず、そうなると8月はプラスで終了というシナリオもあり得る一方、しかし、やはりチャートからは売り手側がコントロールしていることが見受けられたため、8月は値を下げて終わる可能性が高いと判断するのが妥当となる。
3日足チャートと1時間足チャート
3日足チャート(左上図)の収縮するペナントからは、強気相場から弱気相場へとトレンドが変化しているのが分かる。
3日足チャートの相対力指数(RSI)もまた、3月中旬以降はじめて50%を下回った。50%以下になることは弱気相場であることを示すものだ。
価格と出来高の両方を用いるチャイキン・マネー・フロー(The Chaikin money flow)の指標が0を下回り、これは売り圧力が増す兆候を示すものだ。
総じて見れば、下落傾向であるという考えが最も無難で、心理支持線である9000ドル(約95万)まで下落することも視野に入ってくる。
しかしながら、9,000ドル(約95万)への下落は、1時間足のRSI(上図右)が50%を超す強気相場のゾーンに入ったことから考えると、支持線から抵抗線に転じた9,755ドル(約103万円。現地時間8月22日の安値)へのわずかな下落から始まった可能性も否定はできない。
1時間足のRSIが強気に転じた一方で、100時間移動平均と200時間移動平均を下回る50時間移動平均という並びを見れば、典型的な弱気相場の印を示しており、強力な抵抗が見込まれる。
月足チャート
BTCは7月に「はらみ足(インサイドバー)」になっており、7月の高値の13,200ドル(約140万円)と安値の9,049ドル(約96万円)が、6月の高値の13,880ドル(約147万円)と安値の7,432ドル(約78万円)の範囲内に収まっていた。
基本的に、はらみ足は高値が下がり、安値が上がることで価格推移は小幅となり、市場の煮え切らなさや保ちあいの兆候を示している。
はらみ線の下値の突破が確実視されるようなケースは、弱気相場への揺り戻しの兆候であると広く考えられている。
そのため、7月の安値である9049ドル(約96万円)は、売り手に参考となる数字だが、これを下回ることは、長期的な強気相場から弱気相場へのトレンド転換を示唆しており、200日移動平均への下落リスクをはらむものと考えられる。
(尚、本記事の執筆時点において、著者は仮想通貨の保有をしていない。)
翻訳:石田麻衣子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock(図は Trading View)
原文: Bitcoin Price Faces Third Monthly Loss of 2019