ビットコイン、イーサリアム、ステーブルコインが暗号資産の時価総額の80%を占める──投資家はアルトコインから逃避

ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ステーブルコインのドミナンス(暗号資産市場全体の時価総額に対するシェア)が2021年2月以来の高水準に急上昇した。SECによる2大取引所提訴の後、投資家がアルトコインから逃げ出しているためだ。

ビットコイン、イーサリアム、ステーブルコインの時価総額合計は、暗号資産全体の時価総額約1兆ドル(約140兆円)の80.5%を占めていると、K33 Researchが6月13日に発表したレポートで指摘した。

SECによる提訴のなかで、多くのアルトコインが証券と見なされ、価格が大幅に下落。時価総額トップ10に入っているバイナンスコイン(BNB)、カルダノ(ADA)、ソラナ(SOL)もこの1週間で約30%下落している。

多くのトークンは証券にあたるというSECの主張が正しければ、発行者や取引所はSECに登録するための負担が増える。個人投資家向け取引プラットフォームとして人気のロビンフッド(Robinhood)とeToroは、SECが指摘した複数のトークンのアメリカでの取り扱い終了を決め、大手マーケットメーカーは需要減少を見越してそうしたトークンを売却したようだ。

アルトコインはアンダーパフォーム

K33は、法廷闘争は何年も長引く可能性があると記し、SECの監視下にあるトークンへの資本流入は妨げられ、規制リスクは安全な投資先としてビットコイン、イーサリアムへの投資を促進すると述べた。

最高値からの下落幅(K33 Research)

「ファンドは、過剰なコンプライアンス業務と全体的な取引高の低さから、手を出さないアプローチに戻る可能性が高く、市場参加者にとっては投資意欲はさらに小さくなる。流動性はこの先、さらに限られ、市場の低迷は長期化する可能性がある」とK33はレポートに書いている。

さらに「今後1年、アルトコインに資本を配分するコストとリスクの負担のために、ビットコインとイーサリアムのドミナンスはさらに強まる可能性がある」と続けた。

ビットコインとイーサリアムは現状、多くのアルトコインをアウトパフォームしている。米CoinDeskのデータによると、ビットコインとイーサリアムは年初から57.3%、45.4%上昇。

一方、アルトコインのなかには年初来安値を更新したものもあり、バイナンスコインとポリゴンはそれぞれ2.7%、15%下落している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:K33 Research
|原文:Bitcoin, Ether and Stablecoins Total 80% of $1T Crypto Market Cap as Investors Flee Altcoins