イーサリアムブロックチェーンのスケーリングソリューションを手がけるポリゴンラボ(Polygon Labs)は6月15日、ブロックチェーンの優れたユースケースを世界中から集めたデータベース「The Value Prop」を開設したと発表した。
チェーンを超えて紹介
「The Value Prop」と名づけられたデータベースでは、39のユースケースと300を超えるアプリケーションが紹介されており、その数は今後、増加する見通し。ポリゴンラボは、このデータベースを「ユースケースのウィキペディア」にしようと考えている。
ユースケースは、教育、セキュリティ&リスク管理、社会的インパクト&サステナビリティ、金融、ビジネス&マーケティング、ガバナンス、情報技術の7分野に区分されている。
さらに、ブロックチェーンが暮らしや人生にどのようなプラスの影響を与えたかについてのユーザーの感想や動画を紹介するページも設けられる予定。
「これはほんの始まり。つまらないウェブサイトになるはずがない」と同社チーフ・ポリシー・オフィサー(CPO)のレベッカ・レティグ(Rebecca Rettig)氏はオープン前のインタビューでCoinDeskに語った。
「『ソラナ(Solana)ブロックチェーンのアプリケーションをもっと掲載してほしい』などの要望とともに、データベースは成長していくだろう」
ユースケースを求める規制当局
イノベーション支援だけでなく、ユーザー保護のための法整備という課題に各国が取り組むなか、規制当局の間ではユースケースを求める声が高まっている。
「マスアダプション(一般への普及)を意図したポジティブな規制を支持する方向に議論を進めるためには、暗号資産の脆弱性を排除し、テクノロジーのパワーを反映したブロックチェーンの多くのユースケースを確認する必要がある」とG20(主要20カ国・地域)のある政策立案者はCoinDeskに語った。
シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore:MAS)は今年初め、トークン化と分散型金融(DeFi)の分野におけるデジタル資産のユースケースを調査するパイロットプログラムを開始している。
レティグ氏は、米証券取引委員会(SEC)が大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)とコインベース(Coinbase)を提訴した状況下で、今回の取り組みは、規制当局が「ある種の暗号資産カジノ」としか捉えられない状況を変えられるかもしれないと述べた。
レティグ氏はデータベースについて「政策立案者にとっては非常に役立つだろう」としたうえで「ブロックチェーンは何に役立ち、どのような問題を解決するのかという一般的な疑問もある。これが一般的な回答になることを願っている」と述べた。
規制当局は業界に対し、ブロックチェーンとそのユースケースを暗号資産から切り離すよう求めているが、レティグ氏は「基本的な価値があれば、切り離す必要はない」と述べ、「UNICEF CryptoFund」を例にあげた。UNICEF CryptoFundは、暗号資産で寄付を受け付け、子どもや若者にポジティブな影響を与えるイノベーションの支援に使われ、その資金の流れがブロックチェーンによって可視化されている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
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|原文:Polygon Labs Rolls Out Open Database for Blockchain Use Cases