世界最大の上場ビットコインファンドであるグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)のディスカウント率は6月16日に縮小し、約1か月ぶりの低水準となった。前日15日には資産運用大手ブラックロック(BlackRock)が米証券取引委員会(SEC)にビットコインETF(上場投資信託)の申請を行った。
トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、当記事執筆時点、GBTCは過去24時間で8%以上上昇の約14ドル、同期間のビットコイン(BTC)の上昇率を上回った。ビットコインは約3.5%上昇だった。
現在のディスカウント率は約40%。Yチャーツ(YCharts)によると、5月中旬以来の低ディスカウント率になっている。今週初めに記録した44%からは改善したが、今春初めの35%と比べると依然として大きい。
ブラックロックのビットコインETF申請に期待
世界最大のETF発行会社であり、伝統的金融(TradFi)の業界大手のブラックロックがビットコインETFをSECに申請したとのニュースに、GBTCのディスカウント率がどう反応するかは業界の注目を集めた。
ウィズダムツリー・インベストメンツ(WisdomTree Investments)、ヴァンエック(VanEck)、21シェアーズ(21Shares)と提携したアーク・インベストメント・マネジメント(Ark Investment Management)などの複数の投資運用会社が過去2年間、ビットコインETFを申請してきたが、SECはこれまでのところすべての申請を却下している。
しかしアナリストらは、ブラックロックの影響力と実績を考慮すると、今回の申請はゲームチェンジャーとなる可能性があると指摘。ブルームバーグのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は、ブラックロックは575件のETFで規制当局の承認を獲得しており、拒否されたのは1件のみとツイートした。
以前はプレミアムで取引
CoinDeskと同様にデジタル・カレンシー・グループ(DCG)傘下にあるグレイスケールは、GBTCのETFへの転換を却下したSECの決定に不服として、現在SECと裁判で争っている。GBTCは償還が認められていないタイプのファンドであり、投資家は二次市場でしかファンドを売却できないため、いわゆる「GBTCディスカウント」が発生している。
過去数年間の暗号資産市場の回復期には、GBTCはビットコインに対して大幅なプレミアムで取引された。とりわけ、暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital:3AC)はプレミアムから利益を得ようと多額の投資を行った。だが昨年、市場が急落したことでファンド価額はディスカウントに転じ、大きな損失を出した。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:GBTC Discount Narrows After BlackRock’s Filing for Spot Bitcoin ETF