ビットコイン(BTC)は、流動性の低いエンティティ、つまり取引履歴がほとんどないネットワーク参加者が管理するウォレットに、過去6カ月で最も速いペースで流入しており、長期投資家による蓄積が行われていることを示している。
グラスノード(Glassnode)の非流動性供給量変動指標は、非流動性ウォレットが保有するコインの数を前月の同日と比較して測定するもので、6月19日には14万7351.58BTC(約39億ドル、約5520億円)に上昇し、12月19日以降で最多になった。非流動性エンティティが保有するビットコインの総数は過去最高の1520万7843BTCに跳ね上がり、過去4週間で21万5000BTC増加した。
このデータは、マクロ経済の不確実性が続き、規制リスクが高まっているにもかかわらず、投資家がビットコインの価格の見通しに自信を持ち続けていることを示している。
先週、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は金利を据え置き、15カ月に及ぶ利上げサイクルを停止した。しかし、FRBは年内の利下げを否定する一方で、必要であればさらなる利上げの可能性を残している。これまでの引き締めは、昨年の暗号資産(仮想通貨)市場の急落の一因となった。
今月初め、アメリカ証券取引委員会(SEC)は、大手暗号資産取引所であるコインベース(Coinbase)とバイナンス(Binance)に対して、多くのアルトコインを未登録の証券として提供したとして提訴した。この訴訟では、ビットコインについては言及されなかったため、資金がアルトコインからビットコインへと移されるきっかけになった。
グラスノードのアナリストであるジェームズ・チェック(James Check)氏は、19日に発表された週次レポートの中で、流動性の低いウォレットへの流入は「徐々に、そして着実に蓄積されていることを裏付けるものだ」と述べ、流動性の低いエンティティが保有する記録的な残高と減少する取引所残高を指摘した。
「全体として、市場は静かな集積期にあるようで、最近の規制の逆風にもかかわらず、需要の底上げを示唆している」とチェック氏は述べている。
非流動性供給変動指標は5月24日にプラスに転じて蓄積の再開を示唆し、その後、急激に増加している。
他の条件が同じであれば、蓄積の加速は市場への供給が弱まり、価格上昇の可能性があることを意味する。テクニカルチャートは、2万5200ドルの重要な支持線が維持される限り、つまりビットコイン価格がこのレベルを下回らない限り、強気の復活の可能性を示唆している。
米CoinDeskのデータによると、ビットコインはアジア取引時間中に2万7150ドルを超える高値をつけた後、記事執筆時点には2万6750ドル前後で取引されている。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Glassnode
|原文:Bitcoin Is Becoming Illiquid at 147K a Month in Signal of Steady Accumulation