世界最大の上場ビットコインファンドであるグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の価格は6月20日午前も上昇を続けた。ディスカウント率は昨年9月以来の低水準である33%まで縮小し、今年3月初めに記録した34%を下回った。
15日に資産運用大手ブラックロック(BlackRock)が米証券取引委員会(SEC)にビットコインETF(上場投資信託)の申請を行ったことで、GBTCのETF転換の可能性について楽観的な見方が広がっていることが背景にある。
トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、二次市場でのGBTC価格は5月10日以来初めて16ドルを超えた。本記事執筆時点では15.9ドル付近で取引されており、ブラックロックが申請を行った15日から約24%上昇している。
ETF転換を見越した買い
ブラックロックによるETF申請のニュースを受け、将来的にGBTCを償還できる可能性があること、およびGBTCをETFに転換することを求めたSECに対する訴訟でグレイスケールが勝訴する可能性があることについて投資家が楽観的になったことで、GBTC価格は急騰した。GBTCは現時点では償還が認められていないため、価格がディスカウントされている。
マクロアナリストのノエル・アチソン(Noelle Acheson)氏は「多くの人は(ETF申請に関する)ブラックロックの確信を、グレイスケールがSECに対する訴訟で勝訴する兆候だとみなしている」とし、今後起こり得るETF申請まで保有しておきたいと考えていると指摘した。
アチソン氏は「これは、グレイスケールが勝訴した場合にGBTCをすぐにETFに転換できるという意味ではないが(ゲンスラーSEC委員長がより多くの手段を用いて抵抗するかどうかによる)、GBTC保有者が近い将来に償還できるようになる可能性が高まるのは確実だ」と述べた。
引き続きクローズエンド型との見方
暗号資産(仮想通貨)リサーチ会社K33 Researchのアナリスト、ヴェトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は「GBTCの流動性が依然として低いため、ディスカウント率もさらに縮小した」と述べた。
ルンデ氏は、現在のディスカウント率では「(年間手数料を調整した場合)GBTCが2042年までクローズエンド型のままであることが依然として市場で示されている」と指摘。2020年から2021年にかけて積み上がったレバレッジの反動で引き続き大幅に割安なままになるとの見方を示した。
フィデリティはETF申請を否定
投資信託大手のフィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)が、ビットコインETFを申請したり、グレイスケールを買収したりする可能性があるという噂も浮上している。フィデリティの広報担当者はCoinDeskに対し、申請計画を公表していないとしたうえで、 2021年3月に申請したビットコインETFが却下されて以来、申請や再申請は行われていないと述べた。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:GBTC Share Price Soars, Discount Narrows to Multi-Month Low on BlackRock ETF Filing Optimism