シンガポール金融規制管理局、デジタルマネーの共通プロトコルを提案──アマゾン、グラブなども協力

シンガポール金融管理局(MAS)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)やトークン化された銀行預金などのデジタルマネーを分散型台帳で利用するための基準を提案した。

国際通貨基金(IMF)、イタリア銀行、韓国銀行、さらに金融機関やフィンテック企業などと協力して作成したテクニカル・ホワイトペーパーは「基盤となるデジタルマネーの利用条件を規定する」共通プロトコルを提案している。

MASによると、アマゾン、フィンテック企業のFAZZ、スーパーアプリを展開するグラブ(Grab)がオンライン・リテール取引のエスクロー(預託)の仕組みのテストに協力している。ホワイトペーパーは、テクニカルな仕様のみならず、「取り決めをプログラムする方法についてのビジネスモデルやオペレーションモデル」にも触れている。

ホワイトペーパーは、デジタルマネーのプログラマビリティ(プログラム可能性)が議論の的となっていると指摘。例えば、EUの規制当局は、現金が持つ使用の自由を制限する可能性があるため、デジタルユーロ法案にそうした通貨はプログラムできないとする規定を追加した。

「事業者は、プログラマビリティがデジタルマネーの交換手段としての能力を犠牲にしないようにする必要がある」「マネーの単一性は保護されるべきで、プログラマビリティがマネーの流通を制限し、システム内の流動性の分断につながることはあってはならない」(ホワイトペーパー)

このプロトコルは、異なる台帳技術やマネーの形態に対応するよう設計されており、標準化されたフォーマットによって、ユーザーは「自身で選択したウォレット・プロバイダーを使ってデジタルマネーにアクセス」できるようになるという。

「こうした業界各社と政策立案者の協力は、決済の効率化、利用する小売店の獲得、デジタルマネーの利用におけるユーザー体験の大きな進展を後押しした。より重要なことは、デジタルマネーが将来の金融や決済の重要な要素になる見通しが高まったこと」とMASのチーフ・フィンテック・オフィサー、ソプネンドゥ・モハンティ(Sopnendu Mohanty)氏は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Central Banks Propose CBDC, Stablecoin Standards With Amazon, Grab Running Trials