サム・アルトマン氏のWorldcoin、Oktaと統合して生体認証を導入

OpenAIの二人によって設立されたブロックチェーン・アイデンティティ・プロジェクトである「Worldcoin」は、Oktaと統合し、そのアイデンティティ・プロトコルであるWorld IDをドイツで開始すると6月29日のプレスリリースで発表した。

World IDの認証はまずドイツで導入され、ユーザーはバイオメトリック・データを採用したカスタム設計のハードウェアを使って完全に認証されるようになる。このハードウェアはOrbsと呼ばれ、ベルリンを皮切りにドイツ全土で販売される予定だ。

Oktaのヘクター・アギラー(Hector Aguilar)CTOとチーフアーキテクトのジョン・トッド(Jon Todd)氏が投稿したブログ記事によると、Oktaは「数億人のユーザー」を持つID・アクセス管理ソフトウェア・プロバイダーで、数十億人規模を目標にしているという。

「Worldcoinでサインイン」オプションがOktaの認証ソリューション用マーケットプレイスAuth0に登場し、開発者はグーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)と並んでアプリのサインインオプションとして採用できるようになった。World IDはWorldcoinのIDプロトコルであり、ゼロ知識証明とバイオメトリクスを使用して、ユーザーが人間であり、ユニークであることを検証する。

Worldcoinのプロトコルによって完全に検証されるためには、ユーザーは特定の場所で利用可能なOrbsで虹彩をスキャンする必要がある。Orbsはユーザーの虹彩をスキャンし、人工知能を導入してユニークなコード、つまり暗号IDを作成する。IDへの生体データの処理はほぼリアルタイムで行われ、その結果得られたデジタルキーはユーザーのデバイスに保存される。デフォルトでは、Orbsは処理中に取得したデータを保存しない。

ユーザーはデータの保持を選択することもでき、「そうすれば、データは暗号化され、モデルの精度や包括性の向上などに利用できる」とWorldcoinを開発するTools for Humanityの製品・エンジニアリング・デザイン責任者であるティアゴ・サダ(Tiago Sada)氏は言う。

World IDは、グーグルのような他のサインイン・オプションよりもプライベートだという。「開発者がそれに対処する必要はないものの、裏側でプロトコルのプライバシー保証が維持される」とサダ氏は言う。Oktaと統合することで、Worldcoinは何千ものアプリケーションで利用できるようになり、開発者は基本的にスイッチを入れ、少しばかりコード変更をするだけでよいとサダ氏は言う。

さらに、World IDは生体認証データを使用しているため、開発者やアプリケーションが人間とボットを区別するのに役立ち、詐欺に対抗しやすくなる。

World Appによれば、Worldcoinには30カ国で190万人のユーザーがいる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:虹彩スキャンに基づいて暗号IDを作成するWorldcoinのカスタム・ハードウェア、Orbの内部。(Worldcoin)
|原文:Sam Altman’s Worldcoin Integrates With Identity Management Software Okta as It Pushes Into Germany