6月29日に公表された議事録によると、欧州中央銀行(ECB)は2024年から分散型台帳技術(DLT)に基づく金融市場決済のための探索的作業を開始する。
ECBは、金融機関間の証券や外国為替取引の決済をどのように革新できるかを検討する一方、EU市民が利用できるリテール向け中央銀行デジタル通貨(CBDC)、デジタルユーロの計画も策定している。
議事録によると「ECBは2024年に検討作業を開始する予定」で、デジタルユーロを実際のホールセール取引と模擬的なホールセール取引の両方でテストするとしている。
この調査は 「能力と時間に制限があるので」 、DLTを使用する証券取引の金融市場インフラ要件を一時的に緩和する、昨年EUによって可決された新しい試験的規制を含む既存のルールに基づいて行われると議事録は付け加えている。
この発表は、従来の金融関係者が暗号資産(仮想通貨)とそれを支えるブロックチェーン技術の探求を続ける中、先週ECBによって設立された新しい業界団体の初会合で行われた。ECBの諮問委員会は、ユーロクリア(Euroclear)やドイツ銀行といった伝統的な金融プレーヤーが中心となっているが、HQLAXやFnalityといったDLTに焦点を当てたイニシアチブも含まれている。
欧州委員会は6月28日、消費者のプライバシーや銀行システムから預金が流出するのを避けるための保有制限など、リテールCBDCを支える可能性のある新しい法律を提案した。
業界団体のGlobal Financial Markets Associationによる最近の調査では、金融市場で暗号資産スタイルのDLTを使用することで、担保を解放し、合併などのプロセスを自動化することで、年間1000億ドル(約14兆4000億円)を節約できる可能性が示唆された。
|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:ECB to Start Wholesale CBDC Settlement Trials in 2024